昔は定番だったのに、コスパ重視や電子化といった時代の流れに応じてなくなっていくクルマの装備。50代以上のおじさん世代にとってはなくなってほしくなかった……と思いを馳せる装備もある。そこで、なくなった装備、なくなりそうな装備のなかから、復活してほしい、なくなってほしくない装備を挙げていきたい。

文:ベストカーWeb編集部/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:theimageengine@Adobe Stock)

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■復活してほしい装備:開かないガラスルーフはいらん! ちゃんと開くサンルーフがほしい

ハリアーの調光パノラマルーフ(左図:透過状態、右図:遮光状態)。

 最近のクルマは、ガラス技術の進化によって赤外線や紫外線を通さない調光機能を持つガラスルーフ、パノラマルーフが定主流になっている。

 夏は暑く冬は寒いというサンルーフの弱点を解消でき、夏でも涼しく(遮熱)冬は暖かい(断熱)快適な室内空間の実現に貢献できるようになりました。調光ができるパノラマルーフは、シェード(日よけパネル)を備える必要がなくなり、軽量化やヘッドクリアランスの確保にもつながっている。

 だが、おじさん世代にとってはガラスルーフは邪道かもしれない。「なんで開かないんだと」。広大なガラスエリアはいいのだが、「開かなければ意味ないじゃん」と思ってしまう。

前席と後席の分割型のパノラマルーフを搭載した2021年に登場したヴェゼル

 そもそも電動サンルーフが登場したのは1978年デビューの2代目プレリュード。電動スイッチを押せば新鮮な空気が入り解放感抜群で、タバコの煙も排出するという役割もあった(当時喫煙率は非常に高かった。サンルーフを開けない時はカバーを閉めて、室内の空気を排出したいだけの時はチルトアップ、スイッチで開けたい面積も調節できた。

昔のサンルーフが懐かしい(arthurhidden@Adobe Stock)

 今の時代、技術がこれだけ進んでいるのだから、広大な面積の“ちゃんと開く”サンルーフ(ムーンルーフ)をビシバシ設定してほしいものだ。

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■復活してほしい装備:スピンターン楽勝、引いた感覚も最高な手動式サイドブレーキ

フィットの電動パーキングブレーキ。ON/OFFスイッチの下にはブレーキホールドのスイッチがある

 全車速ACC(クルーズコントロール)や自動ブレーキなどが装備され、手動式のサイドブレーキが淘汰されつつある。そう、スイッチひとつでサイドブレーキがかかる電動パーキングブレーキが全車装備となる日も近い。

 しかし、やっぱり、サイドブレーキを引くと、あの「ギギギ」という独特の音がする手動式のほうがよかったなあと思う時が多々ある。

 ただ、ブレーキペダルから足を離しても停止し続けてくれる「オートブレーキホールド」は捨てがたいので何が何でも手動式サイドブレーキに復活してほしいとは思わないが……。

BIGチェンジして進化したGRヤリスの「RC}グレードにメーカーオプション設定される縦引きパーキングブレーキ

 そんなことを思いつつ、嬉しいニュースが入ってきた。なんと2024年4月にマイナーチェンジした、GRヤリスになんと巨大な手動式サイドブレーキ、その名も「縦引きパーキングブレーキ」が設定されたのだ。

 GRヤリスのモータースポーツ用ベースマシンとして設定されるRCグレードにメーカーオプションとして設定された。

 6速MTのシフトノブの右横に直立するパーキングブレーキレバーなのだが、写真を見るとステアリングホイールとの距離が近く、激しいドライビングでも確実にパーキングブレーキレバーを引くことができる位置にある。

 標準仕様ではシフトレバーの後方、運転席と助手席の間の一般的な位置にあるのだから、縦引きパーキングブレーキは二度見するほどビックリ!

新設定された8速AT仕様のインテリア。パーキングブレーキはこの位置が標準仕様となる。インパネはセンターパネルが15度ドライバー側に傾けて設置されることで視認性と操作性を高める

 モータースポーツ好きの筆者にとっては他の車種にも増やしてほしいくらい。電動パーキングブレーキ(EPB)を採用するクルマが増えた昨今だが、GRヤリスはモータースポーツでの使いやすさを第一に考えて従来からレバー式を採用する。

 サイドターンをするためにパーキングブレーキレバーを引くと、4WDのセンターデフを開放してタイトにターンしやすい制御をするのだ。

 手動式サイドブレーキはアナログ感覚で、サイドブレーキを引いた感覚が大きいし、スイッチ1つで作動、解除ができる電動パーキングブレーキは「いまパーキングブレーキかかってたっけ?」と“した”という感覚が薄い。なくなってほしくない、復活してほしい装備である。

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■復活してほしい装備:三角窓があればエアコンなしでも涼しい!?

このように三角窓を回転させて走ると実にいい風が入ってくるのだ(Pavel@Adobe Stock)

 若い人がまったく知らない装備の1つ(だろう)、三角窓である。上部と底辺を軸に回転させることが可能で、外気を取り入れることができた。しかも開き具合によって風量調整まで可能。当時のクルマは、エアコンはもちろん送風・換気という機能すら十分ではなかったから、この三角窓の存在は絶大だった。

 しかし、1960年代の終わりころから急速に姿を消していく。なぜ三角窓はなくなったのか。コストや安全面(はみ出した箇所が歩行者のダメージとなり得る)もあるが、一番大きいのは、エンジンの排熱を利用したヒーターの研究が進み、きちんとした配管構造を持つ強制送風式のベンチレーションシステムが普及しはじめたことが最大の原因だろう。

 現在、エアコンがこれだけ高性能化しているので三角窓はいらないという人も多いだろう。しかし、エコの時代、エアコンを最小限にし、三角窓を開けての省燃費運転は今の時代に合うのでは。

 ホンダフィットやダイハツトール、ハイトワゴンの軽自動車など、ドアガラスの前方にはめ殺しのガラスが付いているクルマもあるので、あの部分を開閉式にすることは難しいだろうか? 

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■復活してほしい装備:キャンバストップ

1986年12月登場のフォード(日本フォード)フェスティバ。マツダが当時のオートラマ店で販売しており、日本初の電動キャンバストップを採用していた

 キャンバストップと聞いて思い出すのは、フェスティバキャンバストップと、デミオキャンバストップ。スイッチ1つで手軽にオープンドライブが楽しめる電動キャンバストップを組み合わせて大ヒットした。

2代目デミオのキャンバストップ。実によくできていたのだがこれ以降日本車に採用されることはなかった……

 キャンバストップは、ピラーとルーフを囲む部分だけで、ボディ剛性を確保でき、かつ軽量化できるのでうってつけだった。しかし、デミオキャンバストップを最後に、布の天井ということもあり、防犯対策の面から衰退していった。最後はルノートゥインゴで、それも2023年を持って生産を終了している。

 フィットキャンバストップ、ヤリスキャンパストップなど、昔のようにコンパクトカーに設定してみてはいかがだろうか?

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■復活してほしい装備:黄ばみのないガラス製ヘッドライト

2000円も出せばヘッドライトの黄ばみは取れるが青空駐車場に停め続けていれば再び黄ばんでしまう

 最近やたらと見かけるヘッドライトが黄ばんでいる、白化しているクルマ。昔のヘッドライトはガラス製で、バルブも白熱球、その派生のシールドビーム、マニアが交換していたハロゲン球であり、発生する熱で光を放出する仕組み。

 ガラス製のヘッドライトは比較的キズが付きにくく、黄ばみ、くすみに強かい(逆に内側の曇りは発生しやすいが)。

 しかし現在のヘッドライトはガラスに対して対衝撃性で勝り、破損しても破片が飛び散りにくく、安全性、そしてデザインの自由度の高さ、軽量化を重視したポリカーボネート素材(樹脂)が主流だを。

 新車のヘッドライトには耐候性を高めるためのコーティングが施されているものの、黄ばみ、くすみの発生は素材の性質上、ガラスより深刻で、主に紫外線、クルマの前面にあることから飛び石などによる細かいキズ、さらにコーティングの剥がれなどによって、経年変化とともに劣化が促進されることになる。

 特に紫外線はヘッドライトの黄ばみの最大の原因とされ、屋外駐車のクルマでは避けられないダメージのひとつ。黄ばみのないガラス製ヘッドライトが増えてほしいものだ。

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■復活してほしい装備:初代オデッセイのオープンベンチモード

実際に座ると、かなりお尻が沈みこみ、足は持ち上がる感じで、身動きがとりづらかった印象がある

 初代オデッセイは、3列目のシートが床下格納だった。背もたれを前側に倒し、後ろ側に反転させると床下にスッポリと収まる。

 この機能を活用したのがオープンベンチモードだ。停車時にリアゲートを開き、3列目シートを後ろ側へ反転させると、背もたれに腰掛けて外を向いて座ることができたのだ。きっとメルセデスベンツS124ワゴンにあったサードシートを参考にしたのだろう。

 写真を見ると、釣りをする時に便利だと思うが、リアゲートが開いているので、釣り竿を操るのは難しかったのではないか。でもこのシートにカップルで座って……というのもいいかも。

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■復活してほしい装備:濡れた傘を入れるスペース

傘ドアポケット(1981年6代目スカイライン)

 アンブレラポケット、これもぜひ復活してほしい。雨が降るといつも傘の置き場に困ってしまうからだ。3代目パルサー(1986年)はドア開口部のボディ側(ストライカー金具の上側)に穴が設けられ、専用の傘を収納できた。

アンブレラポケット (1986年3代目パルサー) 2代目パルサーから3代目まであったのだが、以後は使い勝手の悪さからか、なくなってしまった

 理想は6代目スカイライン(1981年)に採用された、傘入れ兼用のドアポケット。なんと傘から流れ出す滴が車外へ流れていくように設計者が工夫して開発していたのだというから驚き。

 2LのLグレード以上に標準装備されていた。ぜひ、この傘入れ兼用ドアポケットを復活させてほしい。できれば透明のビニール傘(70cm)が入るスペースをお願いします!

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