9月20日は「バスの日」だった。明治36年(1903年)9月20日に京都市で日本で初めてバス運行を行ったことに由来するもので、1987年に日本バス協会が定めたものだ。この時期には全国でバスイベントが開催されるが東濃鉄道ファンフェスタに行ったのでレポートする。

文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■東濃鉄道ファンフェスタ

無料のファンフェスタと有料の撮影会があった

 JRと路線バスを乗り継いで到着したのは岐阜県土岐市。イオンモール土岐というショッピングモールである。今日はここで東濃鉄道ファンフェスタというイベントが行われるため来場したわけである。

 会場にはまだ開始時間まで時間があるので少しずつバスがやってくるという感じである。筆者はまず事前に申し込みをしていた撮影会の受付へと向かった。

 料金を支払い、記念の缶バッジと特製の名札をボックスの中に手を入れて取り出す。どうやらここに書かれている番号が午後からの部品即売会の順番になっているらしい。

■バスに乗車して撮影会場へ

午前と午後でバスを入れ替えての撮影会

 受付を終えると駐車場に停車しているバスに乗車する。詳細はこの時は知らされてなかったが撮影会はここからバスに乗った先、つまり場所はシークレットということであった。この日は9月に入ったというのに朝から晴天で汗をかくほどの暑さで車内に入ると冷房の風が気持ちよく感じた。

 出発時間になるとバスが動き出し係員から今日のことについて説明があった。山間の風景をしばらく乗っていくとやや広めの敷地に到着した。ここが今回の撮影会の会場のようだ。

■東濃鉄道バスターミナル跡地

線路が残る庫内走行が今回の目玉?

 ここは土岐市駄知町にある東濃鉄道バスターミナルだった場所である。かつては1974(昭和49)年まで東濃鉄道駄知線の駄知駅があり、廃止後はバスターミナルとして利用されていた。

 ただそれも2022年9月をもって閉鎖となり、以降はバスの乗り入れもなくなったので立ち入りができない場所となっているという。当時鉄道車両の整備に使われていた車庫はそのままバスの整備場に再活用され中には今もレールが残っている。

 係員の案内で降車すると早速停まっているバスの撮影会が始まった。今回は岐阜県内外から7社のバスが集まった。それを午前、午後と振り分けて撮影を行うという。

 同時にイオンモール土岐でもバスフェスタを開催しているので、全てを持ってくると向こうの展示バスがなくなってしまう。よって入れ替えにしたようだ。それではこの午前の部に並んだバスを紹介したい。

■午前の部

岐阜バス

 まずは岐阜バスで、日野ブルーリボンシティがやってきた。2005年式で現在は岐阜西営業所に所属している。岐阜バスとしておなじみのカラーリングであるが、実は日野自動車のサンプルカーとしてお披露目された経歴を持っており、初めて岐阜にやってきた時は他と異なるカラーリングをしているため注目を浴びた。

 また以後ハイブリッド車の導入に移行していったため、岐阜バス唯一のノンステップディーゼル車ともなっている。

知多バス

 続いては知多バスである。三菱ふそうエアロスターがやってきた。2005年式で前述の岐阜バスとは同年代となる。現在は半田市・常滑市を中心に走行している。前面のマークと、側面の青いラインがなんとも知多半島の空と海をイメージしたようで地域性を感じる。

■エアロスター多し!

北恵那交通

 その隣は北恵那交通である。こちらも三菱ふそうエアロスターの登場だ。北恵那交通のオリジナルカラーで2007年式である。ただ他の車両と違う部分として、短尺エアロスターと言われ、ホイールベースが標準尺に比べ50㎝短いという。

濃尾バス

 一番端に見えてきたのは濃飛バスである。こちらも三菱ふそうエアロスターで、大きく違うのは前方の扉のみ、いわゆるトップドアと呼ばれるタイプである。2012年式でこちらもオリジナルカラーだ。現在でも路線バスとして走行しているので、飛騨へ行った際には探してみよう。

東農鉄道のエアロスター

 そして主催の東濃鉄道からは3台が参加となった。まずは路線バスタイプの2005年式三菱ふそうエアロスター。これで今回は3台のエアロスターが揃うということになった。このカラーリングは東濃鉄道の復刻カラーとなっており名鉄グループ共通デザインを基に緑色を配色した「懐古調塗装」となっている。

東農鉄道のセレガ

 そして先ほど筆者が乗車してきた日野セレガである。主に中央ライナー可児号・ドリーム可児号で運用されている高速車であり、車内後部にはトイレも設置されている。2014年式で高速車らしく座席にはコンセントも用意されている。

東農鉄道のエアロスタートップドア車

 そして参加者を乗せてきたもう1台、三菱ふそうエアロスターのトップドア車である。こちらは都市間高速バスとして高速名古屋線で運用されている。前面ガラスがピラーレスとなっていてすっきりとした印象を受ける。筆者としては行きと帰りで別々のバスに乗車しようと考えていたのだが、それは叶わなかったのでまた機会があれば乗車してみたい車両である。

■庫内走行撮影会!

各車両の通り抜け撮影会

 以上、この7台が午前の部として参加した。それぞれが思い思いにシャッターを切る中続いては隣のスペースを利用して撮影会が始まった。バックにある建物は東濃鉄道駄知線の車庫がそのまま残っており、ここを使って写真を撮るようだ。1台ずつ向こうからバスを走らせて車庫を出たところで停車し撮影時間を設けるといった流れだ。

昭和の遺構を最新の路線バスが走る!

 最後にエアロスターが集まっているということで並びでの撮影会、そして全てのバスを並べた全体での撮影を行い、午前の部は終了となった。

エアロキングも通り抜け!

■休憩時間は美濃焼三昧?

通り抜けは続く

 ここで一旦休憩時間となった。ただ撮影会会場にはトイレなどの設備がないため、ここから再びバスに乗車し、近くにある「道の駅 土岐美濃焼街道 どんぶり会館」へ向かい昼食のための休憩時間がとられた。建物の中で食事を取ったり、駐車場でバスの撮影をしたりと様々に自由時間を過ごしていた。

並び撮影も複数パターンで!

 美濃焼のふるさとである地域ということで、美濃焼のアンテナショップとなっており買い物を楽しむ姿も見られた。また土岐市が全国有数の「どんぶり」の産地であることから、建物もどんぶり型にデザインされていたり、館内で購入できるアイスもどんぶりに入っていたりと興味あるものであった。機会があれば立ち寄っていただきたい。

■午後の部

名鉄バスの教習車

 そして撮影会会場へ戻り午後の撮影会が始まった。今度は3台のバスがお出迎えしてくれた。まずは名鉄バスである。名鉄バスというと午前中にもいた岐阜バスのような赤と白のカラーリングがイメージされるが、今回やってきたのは黄色のバスである。

各種センサーや機器が積まれている名鉄バスの教習車

 あまり街中で見ることはないバスであるが、前面に大きく書かれた教習車である。元は2016年式の三菱ふそうエアロスター路線車であり、基幹バスとして運用されていたが今年改造され生まれ変わった。

並び撮影は角度も大事?

 教習専用車としては3代目になる。車内には大きなモニターが設置されており、車体4箇所からレーザーを照射することにより、バスまでの距離を測定できたり運転手がどこを見てどう運転しているか判断できるシステムが搭載されているという。

■災害指揮車が登場!

名鉄観光バスの災害指揮車

 続いては名鉄観光バスである。こちらも普段あまり見かけることのない貴重なバスがやってきた。その名も「サージェントイエロー」といい、運転教習車&災害指揮車という文字が側面に書かれている。

指揮車の中はまるで会議室!

 通常は運転士の教習車として使用しており、それは前述の名鉄バスと同じでだが、万が一の災害時においては指揮車として名鉄観光バスの事業が止まらないように司令塔としての役割を持っているという。

 もちろん貸切バス事業者の中でこのような専用車を保有しているのは名鉄観光バスだけである。車内は前列2列には通常の座席があるが、運転席後ろの座席にはテーブルとモニターが設置されておりここに指導員が座るという。

 直接指導するほか、足元には補助ブレーキもあり自動車の教習車のようにブレーキを踏んで止めることもできるという。またフロントガラス上部にあるモニターには各方向のカメラ映像が確認でき、これは録画して後で運転手も見ることが可能だ。

 車両後部は大きなテーブルが両側にあり、さながら会議室のような印象を受ける。テーブル下には様々な資機材があり最後部にはベッドやトイレの設備もあった。幸いにも指揮車として機能したことはないというが、できれば教習車として活躍を願いたいところだ。

■お約束のエアロキング!

お約束のエアロキングは撮影するなら今のうち!

 最後はJR東海バスである。やはりエアロキングがやってきた。この744-10991号車は今年2月までハイウェイバスとして運用されていた車両で、最後までJR東海バスが所有していたエアロキング3台のうちの1台である。

全体的にふそう車が多め?

 そしてこの744-10991号車がその後約1年の延長運転が決まり、現在はイベント等にゲスト出演ようになっている。車体側面にはエアロキングの文字が復活しツバメのマークとともにJRハイウェイバスとしての誇りを感じられる。

 ここでもイオンモール土岐の会場でも人気でダブルデッカーという見た目の大きさのインパクト、座席数の多さやバリエーションに人気が集まっていた。車庫を使った撮影会でも屋根が当たらないかというほどの大きさを実感できた。

 そして午前の部と同様に車庫を使った撮影会を1台ずつ行い、その後東濃鉄道のバス3台と合わせた6台での撮影会を行って終了となった。1台ずつイオンモール土岐へ戻っていくバスを見送ったあと、東濃鉄道の路線バスを使って車庫内でバスを止めての撮影会も行われた。

 当時のまま残されている東濃鉄道駄知線の車庫に止められたバスが屋根の光取りの明るさと車庫内の暗さのグラデーションがまたとても印象的だった。心行くまで撮影を済ませたファンは外に待機しているバスに分乗し、イオンモール土岐のバスフェスタ会場へと帰路についた。

■無料のバスフェスタ会場では…

ちょっと特別感のある車両のみ?

 こちらのバスフェスタでは戻ってきたバスの展示のほか、キッチンカーや各バス会社のブースでのグッズ販売など多くの人で賑わっていた。縁日あり、制服を着ての撮影コーナーなどもあった。またこちらのバス展示では車内に入ることも可能となっており、先程撮影した教習車など普段車内を見ることができないエリアにも入ることができた。

 多くの来場者が興味深く車内を見たり、バス会社の人と言葉を交わしたりと、盛況だったようだ。そして有料の撮影会に参加した人はこのイオンモール土岐内で行われたバス部品販売会へと流れていった。朝の受付時にもらったカードに書かれていた整理番号順で優先入場ができた。筆者はそちらへは参加しなかったが、会場内は多くのファンがお目当てのグッズを買い求めていた。

 さらに撮影会の時間と一部重なる形であったが東濃鉄道駄知線の廃線をたどり、撮影会会場近くに今も残る日帰(ひがえり)トンネルを探検するバスツアーも開催された。土岐市観光ガイドの案内によるツアーで多くの参加があったようだ。

■厳しい環境でもイベント開催には拍手!

東農鉄道のみの3車両撮影

 「東濃鉄道ファンフェスタ」の様子をお届けした。暦の上では秋とはいえ、残暑厳しいみぎりであったが、ショッピングモールの駐車場という立地もあって多くの来場者があったようだ。

 また撮影会の料金は5000円の設定ながら、開催までに定員いっぱいとなるほど人気であった。撮影会も進行や時間配分などやや至らない部分はあったものの、晴天に恵まれ満足のできる撮影会となったようだ。

 バスの展示など気軽に見たり乗車してもらったりして、少しでも興味を持ってもらえる機会となればイベントも成功だったといえるのではないだろうか。バス業界を取り巻く環境や問題は深刻化しているが、こうしたイベントで「知ってもらう」ことも重要だ。全国各地で開催されるバスイベントへぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

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