ダイハツ・ブーン/トヨタ・パッソといえば、軽自動車からちょっと背伸びしたい人向けの手頃なコンパクトカー。そのブーン/パッソに、まさかの7人乗りがあったことをご存知だろうか? その名もブーンルミナス/パッソセッテ。3年半、わずかに3300台あまりが市販された超レアモデルだぜ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ダイハツ
■リッターカーを7人乗りに!
もともとダイハツには、軽バンのアトレーをベースにした7人乗りのワゴン車「アトレー7」があった。とはいえ世の中はミニバンブーム。ワンボックス型のアトレー7は元の商用車感が払拭できず、なかなか支持を得られない。結局、2000年にデビューしたアトレー7は、4年半生産された後、そのモデルライフを終えることになった。
そこでダイハツ開発陣は考えた「もっとミニバンっぽい、スマートな7人乗りを作ろう」と。こうしておよそ4年間の空白を経て、2008年の暮れに登場したのが、ブーンルミナス/パッソセッテである。
ベースになったのは初代ブーン/パッソだが、フロントやリアの造形はリデザインされており、わずかにウインドウ下端からキックアップするDピラーあたりに共通性を感じる程度だ。
ボディサイズも気前よくドーンと拡大した。全長は580mmも伸ばして4180mmに。ホイールベースも310mmも延長して2750mmになった。
当然、ボディは重くなった。ブーン/パッソは1トンを切るクルマだったが、およそ200kgの増加だ。多人数乗車も考慮すると、もはやブーン/パッソの1リッターや1.3リッターでは間にあわず、タウンエースなどが積む1.5L可変バルタイ機構付き「3SZ-VE」が選ばれた。スペックは109ps/14.4kgmである。
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■販売期間わずか3年半、3300台余のレア車!
こうして誕生したブーンルミナス/パッソセッテだが、走りのほうもなかなかで悪くなかったのだが、タイミングが悪かった。前述した通り、このクルマの登場は2008年12月。実はその7か月前に、大物フリードがデビューしていたのだ。
フリードはモビリオの後継車として、多人数乗車を追求したホンダの自信作。ドアもスライド式だし2列目シートはダブルフォールディング、エンジンにハイブリッドをラインナップしたことも魅力だった。
さらに向かい風となったのが、ルミナス/セッテの販売直後に始まったエコカー減税。搭載エンジンの関係からルミナス/セッテはエコカーに選ばれず、さらにフリードに水を開けられる結果となってしまった。
結局、ルミナス/セッテは2012年4月に販売を終える。販売期間わずか3年4カ月、国内累計販売3350台という1代限りのモデルライフだった。
日本では寂しい結果に終わったブーンルミナス/パッソセッテだったが、それですべてが終わったわけではない。実はブーンルミナスは、マレーシアの自動車メーカー「プロドゥア」にOEM供給され、「アルザ」という名前で生き延びたのである。
アルザは2022年まで市販されたあと、2代目が登場し、現在に至っている。
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