数多くのクルマ好きの心を奪っていった歴代GT-Rの名車たち。その中の「どの世代」が印象的かを自動車評論家の皆さまに伺った。みなさんは、ハコスカからケンメリ、R32からR34、そしてR35までの6世代ならどれがナンバーワン?
※本稿は2024年8月のものです
文:片岡英明、岡本幸一郎、清水草一/写真:ベストカー編集部、日産 ほか
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
■R32 GT-Rに世界が驚嘆
ハコスカ〜ケンメリ、R32〜34、そしてR35。3つの世代に分かれるGT-Rの歴代ランキングを決める。
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■R32が1位なのは当然?:片岡英明
GT-Rは日産の技術の象徴だから、メカも走りの実力も飛び抜けて高いレベルにないと話にならない。R32は基準車から潜在能力が高かった。が、そのGT-Rはメカも走りも、予想の数段上を行っていた。海外のエンジニアやレース関係者までもが驚嘆した。
当時、世界最強の実力派で、レース規則を変えさせるほど速かったのである。直6DOHCツインターボのRB26DETT型エンジンの鼓動もチョー気持ちいい。意のままの走りを楽しめることに加え、小振りに見えるクーペボディも色あせない魅力あるデザインだ。
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■R32を1位にした理由:清水草一
そりゃもう理屈抜きに革命的な存在だったから! RB26DETTエンジンと、アテーサ4WDの組み合わせ。これが世界を制したわけですよ。速さでポルシェやフェラーリなど世界のスーパースポーツをコテンパンにしたわけだよ! 国内専用モデルだったがゆえに、逆に今になって世界で神話的存在になっている。
もちろんR35もハコスカも偉大だけど、R32を前にすると、どこか霞んで見えるよね。日本の誇る歴史的名作だ。これを超えるGT-Rは出ない!
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■R32ではなくR35を1位にした理由:岡本幸一郎
正直、GC10、R32、R34、R35のどれを1位にするかかなり迷った。どれでも理由づけができるからだ。そこで、GT-Rは速さこそ命のクルマという原点に立ち返って考えてみた。
R32も相当な実力の持ち主ではあると思うが、国内での話だと思う。かたやR35は世界の第一線でしのぎを削っている。1位に選ぶにふさわしいのは、R35ではないかと思う。
ニュルでのタイムにポルシェが口を出したのも有名な話だけど、それだけR35の出したタイムはインパクトがあったということだ。
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■R34(3位)よりもR35(2位)を上位にした理由:清水草一
R34人気は猛烈に高いけど、それはR32の完成形って意味だと思うんだ。実際乗ると、ノーマルのR34はあまり速く感じなかった。特にニュルはタービンが重くて回んなくて、遅くてビックリしたよ! デザイン的にはブサイクを極めたカッコよさを感じるけど、ある意味象徴的な存在だよね。
GT-Rにとっては、絶対的な速さが正義。R35は、もう一度その正義に立ち返って、世界最速のマシンを作り上げた。17年経ってもいまだに世界最速級の速さを維持してる。歴史に名を刻んだんだよ!
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■R34(4位)よりも初代ハコスカ(3位)を上位にした理由:岡本幸一郎
こちらも大いに迷ったのだが、R34の本質的な価値というのは、最後の直6であり、第2世代のGT-Rの集大成であるところにある。
対するGC10は、ぶっちゃけエンジン命なだけのクルマではあるわけだけど、それがレースの世界で成し遂げたことがあまりに大きかったのは、多くの人が知っているとおりだ。
R34だってそれなりに結果を出しているとはいえ、R32やGC10ほど記憶に残るものはない。そういうカテゴリーがなかったという不運もあるが、GT-Rとしての価値の大きさは、GC10のほうが上だと思う。
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■ケンメリGT-Rが最下位なのはしかたない?:片岡英明
GC10系から生まれた最初のGT-Rは、当時の国産車レベルを大きく超えた高性能モデルだった。これに続くケンとメリーのKPGC110型GT-Rは、その正常進化モデルである。が、メカは代わり映えしないし、車重も増えたからレース参戦も考えていなかった。
デザインを含め、GTとしての洗練度は高いから、基準車は空前の販売台数を記録している。魅力的だったことは疑う余地はない。だが、硬派イメージの強いGT-Rとしては、メカの進化に物足りなさを感じる。
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