ボルボの電気自動車であるEX-30。69kWというバッテリー容量で、カタログ値560㎞の航続距離となっている。そんなEX-30でのロングランは難なくこなせるのか?そんなロングラン性能を京都から東京まで約450㎞の旅でチェック。それと同時に電気自動車であるというパワーユニットに色眼鏡をかけず、1台のクルマとしてはどうなのか?電気自動車とコンパクトSUV両方の面からチェックしてみた。
文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb編集部
■実は一番安くてコンパクトなボルボ?
電気自動車と聞くとバッテリーの影響で車体価格が高い印象を持っている人が多いはずだ。しかし、実はEX-30は現在のボルボのラインアップでは最も安いモデルとのこと。
実際に今回試乗したEX-30の価格は20インチホイールやドラレコなどのオプション込みで576万9650円。EX-30の価格設定は559万円からだ。
なお、エントリーモデルとなるXC40は、マイルドハイブリッドモデルで一番下のグレードとなるPlus B3で549万円からとなっているが、BEVへの補助金45万円を考えると実質的にXC40よりも安くなる。
日本仕様はモノグレードで、オプションなどを付けなくて良い事やハーマンカードンのハイエンドオーディオまで付いた装備内容を考えると、BEVとしてはもちろん、ICEやHEVをひっくるめたこのクラスの輸入SUVとして考えても金額的にはアリな選択肢に見えてくる。
ボルボのラインアップをホームページで見てみると、EX-30の一言紹介には「ボルボ史上最もコンパクトなSUV」との表記が、実際にボディサイズを見てみると全長4235㎜全幅1835㎜全高1550㎜。
全高的に立体駐車場でもOKなサイズとなっている。ちなみに、ボディサイズが近しいところで言えば国産SUVだとカローラクロス(全長4490mm全幅1825mm全高1620mm)やレクサスのUX(全長4495mm全幅1,840mm全高1540mm)などが挙げられる。
このように聞くと日本の道でも比較的乗りやすそうなイメージだ。
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■コンパクトなボディサイズとストレスフリーなワインディングドライブを実感
「日本の道でも乗りやすそう」そのイメージは正しかった。出発の朝、京都から東京へ戻るのに、そのまま真っ直ぐ戻っても趣がないと思ったので、少し京都の街中をドライブ。
高台寺を目指したが、狭い京都の道のすれ違いや小さな交差点でもストレスを感じることは無かった。大きすぎないボディサイズと良好な視界、そして見切りの良いスクエア基調のボディデザインがあるからこそだろう。
そのまま「京都の街並みを一望してから京都を出発しようか」と思い、東山の方へ。
途中ワインディングもあったが、SUVとしては低い全高とBEV特有の低重心が良い影響を与えているのか、ワインディングでロール感が大きくストレスを感じることは無かった。
回生ブレーキの強弱をセレクトできるパドルシフトがあったら最高であったが、ワインディングをEX-30は軽やかにクリアしてくれた印象だ。
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■ロングランでは意外と心理的余裕が生まれた?
東山から京都の街中を一望したあとは、いよいよロングランのスタートだ。目指すは東京にあるVolvo Studio Tokyoで、マップによると448㎞先にある。
この時のバッテリー残量は90%で、航続距離は377㎞となっていた。少なくとも1回の充電が必要だ。Googleを搭載したEX-30のナビに目的地をセットすると、途中の充電スタンドもいくつか候補に挙げてくれた。今回は新東名の静岡SAをチョイスしていざスタート。
あまり消費電力を意識せず、基本的にACC任せで高速道路は走行した。ACCはドライブセレクターを下に引くだけで起動するので、便利だ。
ここで気が付いたのは充電スタンド到着時の予想バッテリー残量がドンドン伸びていることだ。その前に東山のワインディングを走行したのもあるが、長距離移動時にこの変化は精神的な余裕も生んでくれる。
高速移動も外部から入ってくる音も含めて静寂性が高く、直進安定性も良くて快適。疲労度は少なくあっという間に静岡SAに到着。この時のバッテリー残量は28%であった。ここから30分充電、丁度昼食時であったので昼食を取ることにした。
静岡SAの急速充電器は90㎾と高出力となっている。もちろん、これは事前にチェックしており、だから静岡SAを昼食休憩&充電スポットとして選んだ。
BEVでの長距離移動ではこういった下調べが必要で、ICEやHEVのようにフレキシブルにいかないのは事実だ。ただ、300㎞を超える長距離移動を頻繫に行う人は世間的に見たらそんなにいないだろう。
高い静粛性やガソリンに比べて移動コストが安いことと引き換えに、年に数回ある長距離移動時にBEVを使うならばこういった計画性が必要になるということだ。
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■無事に東京に到着!
30分の充電で77%まで回復し、航続距離は323㎞となった。ここから東京を目指す。
ただ、事前に指定されたリミットである17時よりも速く到着してしまうため、一旦筆者の地元である御殿場ICで降りて、周辺を散策し、よく車両を撮影するスポットで撮影。そんな細々と動いていたらバッテリー残量は45%となっていた。
こうして東名高速を再び走行し、東京へ。途中雨が降り始め、渋滞につかまりながらも、ロングランの終盤の疲れを運転支援システムはバッチリサポート。
怖い思いを全くすることがなく目的地となるVolvo Studio Tokyoに無事到着した。残りのバッテリー残量は23%、ここまでの走行距離は総計で509.2㎞、100㎞あたりの消費電力は15.4kWhとなった。
一般的な電気自動車のカタログ電費に計算すると154Wh/㎞となり、EX-30のカタログ値である143Wh/㎞よりも良好で、高速道路モードの電費である155Wh/㎞と近い数値となった。
途中30分の充電タイムが必要ではあるが、食事や休憩のタイミングと計画的に合わせればEX-30は長距離移動も比較的余裕でこなせると感じた。
もちろん、現時点でBEVを万人に勧められる訳ではないが、自宅に普通充電の設備を用意できる人で、コンパクトなSUVを探している人に対してEX-30は良い選択の1つだと筆者は感じる。
ヘッドアップディスプレイが備わっていなかったり、回生ブレーキの強弱がパドルシフトでセレクト出来なかったりと、不満が全くないわけではない。
しかし、装備内容や運転支援システムの充実度などコンパクト輸入SUVとして見ても、価格に対してアリな選択肢だと思うし、BEVとして見たら値段に対してバッテリー容量や航続距離は優れていると言えるだろう。
これからBEVライフを始めてみようかなという人は、是非チェックしてほしい1台、それがEX-30だ。
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