今、自動車の次なるパワーソースのメインストリームは揺れ動いている。電力で動くBEVなのか?と思われた時期もあったが、石油由来のエネルギーは思ったよりも息が長そうだし、水素をエネルギーとするトレンドも広まりつつある。そんな中、今一度マツダが取り組んでいた水素エンジンロータリーを振り返ってみよう。
文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb編集部
■時は水素エネルギーの第一次ブーム?
水素ロータリーエンジンが公開されたのは2003年の東京モーターショーでのことであった。
環境対策に向けた技術展示物として、「RENESIS水素ロータリーエンジン」を展示し、そのエンジンを搭載した試作車である「RX-8ハイドロジェンRE」を参考出品したのだ。
実はこの時代は、水素エネルギー一次ブーム時代でもあった。現在自動車に対する水素エネルギー技術でトップを走るトヨタはもちろん、ホンダや日産、BMWなども水素をエネルギー源とした自動車の研究開発を行っていたのだ。
その中でも主流は水素で電気を発電してモーターを駆動する燃料電池車だった。このパワーユニットはトヨタや日産、ホンダなどが取り組んでいた。
しかし、マツダはこれまでのガソリンの代わりに水素そのものを燃焼する水素エンジンという手法を選択した。なお、当時はマツダの他に、BMWが水素エンジンにチャレンジしていた。
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■ロータリーエンジンは水素を燃焼するのに向いている
なぜマツダは他の自動車メーカーと異なり、水素エンジンという選択を選んだのだろうか?それはマツダのアイデンティティと言えるロータリーエンジンに理由がある。
ピストンを上下させるレシプロエンジンは、燃焼室を吸排気が同じ場所で行われる。高温となるバルブ類も燃焼室に入ってくる。
水素はガソリンに比べて着火しやすい燃料であり、燃焼室が高温になりやすいレシプロエンジンでは、高温によって水素が着火してしまい異常燃焼が起こりやすいという課題があった。
しかし、ロータリーエンジンであれば、吸排気と燃焼室はそれぞれ別々の場所で行われ、バルブ類もないので異常燃焼の可能性が少ないのだ。
また、水素用のインジェクターのレイアウト的にも、レシプロエンジンよりも都合がいいこともあったようだ。
このような背景からロータリーで水素エンジンに取り組んでいたマツダ。しかし、燃料の特性上パワーやトルクが出せなかったり、熱効率が高められなかったり、水素での航続距離が短かったりと色々と課題も多かった。
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■撤退から復活へ!!
そんな中、BEVは進化し燃料電池車も進化し、水素ロータリーエンジンは次世代のパワーユニットとして遅れをとってしまう状況となった。このような課題が表舞台から姿を消してしまった理由だろうか?
マツダとしても水素ロータリーエンジンは力を入れて開発していたはずだが、やはりロータリーエンジンという独自技術であるため、ライバルがいて刺激を受ける開発競争というのは難しい。
しかし、近年は水素ロータリーエンジンを復活させるという動きもある。技術・商品方針説明会などでも言われていることだ。これまでのように駆動用に使用するのか?
はたまたMX-30 Rotary EVのように発電用として使うのかは明確ではないが、マツダはロータリーエンジンの研究開発を2024年に入ってから加速させている。
近い将来、何かしらの形で水素ロータリーエンジンの詳細が明らかになるのではないだろうか?
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