マフラーメーカーとして絶対的な信頼があり、創業90年を迎えた藤壺技研工業株式会社(静岡県裾野市)。「スポーツマフラーの老舗」とファンに愛されるFUJITSUBOの工場見学ツアーが、ベストカーMate主催のイベントとして開催された。日産GT-Rの元統括責任者で、現在は日産のブランド・アンバサダーを務める田村宏志氏のスペシャル講義もあり、中身の濃いイベントとなった!
文・写真:ベストカーWeb編集部
■FUJITSUBOのマフラー製品ラインナップは、新旧あわせて1200品番!
ベストカーのもうひとつのWebサイト「ベストカーMate」。誰でも無料会員登録できるファンサイトで、会員さんが参加できる特別イベントは、ベストカーMateの人気コンテンツのひとつ。
2024年10月1日(火)に実施した「FUJITSUBO工場見学ツアー」はその一環で、平日にかかわらず10名の会員さんが、事前登録のうえ参加していただきました(遠くの方は茨城県から参加!)。
FUJITSUBOのマフラー製品ラインナップは大きく、「レガリス・シリーズ」(2010年3月以前に生産された車両向け)と、「オーソライズ・シリーズ」(2010年4月以降に生産された車両向け)となり、新旧あわせて、なんと1200品番の設定があるという。
新しいクルマを開発することと並行して、旧車をリメイク、再ラインナップ! 旧車も大切にするFUJITSUBOの企業方針がにじみ出ている、製品ラインナップだ。
さらに、OEMメーカーのサプライヤーとして、商品開発やマフラー製造も担う一面もある!
そして、日産GT-R用マフラーもかなり有名で、現行R35用の出荷実績は2016年から現在まで1万本以上(凄い!)。しかも、不良品ゼロという部分に品質の高さが伝わってくる。
……それらの企業情報を、藤壺政宏社長が話した後、工場見学へいざ出発!!
■「パイプ曲げ」マシンを目の前で見て、参加者大興奮!!
最初に訪れたのは「パイプ加工」ライン。ステンレスや、高価で軽量のチタンなどの素材を使った、マフラーのベースとなるパイプを加工するライン。
まずは参加した会員さんに、実際にステンレスとチタンのパイプを持っていただき、「軽さの違い」を実感してもらった。「軽い!」とみなさんから声があがるのも納得。チタン、驚くほど軽い!
続けて、「パイプ曲げ」マシンを間近で見学。パイプに塗る専用の油にもこだわり、ひとつひとつ丁寧に迅速にパイプが曲げられる様を、参加者はしばし見とれる……。FUJITSUBOマフラーのスタート地点を見ることができ、貴重なひとときだった。
■技術力の高さを実感! 人の手で溶接され、生まれるFUJITSUBOマフラー
次に見学したのは、「マフラー製造」ライン。今回の工場見学ツアーのハイライトがここ!! 一般の方に公開していない、マフラー製造工程を特別に見させていただきました。参加者のみなさんも、興奮気味にラインの現場へ!
ここでの撮影はもちろんNG。詳しくは書けないが、職人による「手作業溶接」などの説明を受け、FUJITSUBOの技術力の高さと凄さを実感した!
「例えば溶接。ここでは機械ではなく人間が手作業で溶接します。弊社内で腕に自信がある精鋭が集結しており、それはFUJITSUBOの強みでもあります」と現場担当者は語る。
「匠」と呼びたくなる職人さんの手により、マフラーは誕生! その瞬間を見られて、参加者のみなさんも取材スタッフも、まさに感激もひとしお!!
■FUJITSUBOマフラーの完成度の高さを体感できた「騒音試験路」
感激冷めやらぬなか、続けて見学したのは「研究開発部」。現行R35 NISMOとR35の2017年モデルがリフトアップされており、各車のフロア下がドーンと見えるだけでも、みなさん大興奮!
異なる2台のR35の、マフラー形状とその取り付け部を確認しつつ、今後の開発に活かす狙いがある部門だ。
今回の工場見学、最後のメニューは屋外の騒音試験路(見出し下の画像)。ここでは、車両に取り付けられたマフラーの騒音が、その車両の基準値内であるかどうかを確認する、という行程。
デモンストレーションでは現行フェアレディZが走行し、基準値内の騒音であるかどうかを確認。FUJITSUBOマフラーの完成度の高さと、その極みの部分を見た思いだ!
■「FUJITSUBOさんなしでは2024年モデルは誕生していない」(田村宏志氏)
すべての工場見学が終えたところで、こちらもお楽しみの「田村宏志氏のスペシャル講義」の始まり!
ケンメリ・スカイラインが大好きだった青年時代の話から、歴代GT-Rの開発秘話。さらに、R35がタイムアタックなどで「世界一」を達成した時の裏話など、田村さんのお話すべてを紹介するにはスペースがまったく足りないほど、濃い中身のお話。
R35の2024年モデルを開発するうえでの苦労話として、新技術搭載の新型マフラー(もちろん、FUJITSUBO製)に関する、田村さんの話が実に興味深かった。
「動力性能を犠牲にせずに排気音(低音)を低減し、厳しい車外騒音法規に対応するスポーツマフラーを求めていましたが、FUJITSUBOさんは見事にそれに対応していただいた」と田村さん。
続けて、こう加えた。
「今日、この場だから言うわけではないですが、FUJITSUBOさんがいなかったら、R35 2024年モデルはこの世に存在していないと思います」
今回の工場見学ツアーの結びとして、とても重みのあるメッセージだと感じた。
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