世情が不安定だと何かにすがりたくなるのは古今東西変わらない。パワーを必要とする皆様のために、バスで行くパワースポットをバスマガジンWEBのオリジナル連載で紹介する。今月も福岡県の天開稲荷社だ。博多駅からだと路線バスだけで1回乗り換えで楽に行ける。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■自分のパワースポットを探す!

西鉄バス二日市が運行する太宰府市のコミュニティバス

 雑誌やSNS界隈で有名だからと言ってそれが万人にパワースポットかどうかはわからない。自分のパワースポットは自分で探すしかない。

 果てしない旅のようだが、きっと「感じる」ものがあるはずだ。それが見つかれば同じ神様を主祭神とする最寄りの神社や、同じ仏様を本尊とする寺院を訪ねるのもいい方法といえる。

 大都市であれば鉄道駅や地下鉄駅から徒歩で行けるスポットも多いが、もし路線バスの停留所が近ければ徒歩が少ないという意味で紹介する。

 またどんな理由で取り上げたのかも記者の感想や体験として本文中で触れる。バスマガジンWEBオリジナル「【バスに乗ってパワースポットへ】あなたのパワースポットを見つけよう!」にご期待いただきたい。

■九州初の稲荷神社

天満宮からの表参道ではなく途中から登る場合でも案内板と鳥居はある

 今回のパワースポットは九州初と言われている巷でも有名な稲荷神社「天開稲荷社」だ。場所は太宰府天満宮の境外社なので、太宰府天満宮から徒歩が標準的な行き方だが小高い山上にあるので、少しでも楽をするためにコミュニティバスを使う。

 太宰府天満宮は西鉄電車で大宰府駅から徒歩で参道を進むと自動的に行き着くが、博多駅や福岡空港からならば西鉄バスの「太宰府ライナー旅人」が直通していて便利だ。太宰府駅前で降ろしてくれるので、鉄道利用と同様に参道を歩いて行く。

竈門神社と境内社の式部稲荷社の御朱印

 コースとしては太宰府天満宮は最後にしたい。まずは西鉄太宰府駅前から太宰府市のコミュニティバスである「まほろば号・内山線」に乗車して終点の内山(竈門神社前)で下車して、最初に竈門神社に参拝する。階段を上り切ったところに社殿と授与所がある。

 途中の境内社である稲荷神社の御朱印も受けることができるので、登る途中で参拝しておこう。バスは1乗車100円で今回乗車する路線の運行は西鉄バス二日市が行っている。

まほろば号のバス停から歩いて行くと天開稲荷社の鳥居が見えるのでくぐって右に5分程度登山する

 竈門神社前から再度「まほろば号」に乗車して3停目の菅谷(九州情報大学前)で下車する。バス路線の往路は上り坂だが、復路は下り坂なので徒歩を考えると竈門神社の後に参拝すると良い。バス停から300メートルほど道なりを徒歩で下っていくと、左側に朱塗りの鳥居が見えてくる。ここが天開稲荷社の裏側の参道である。

 なお、最初に太宰府天満宮から参拝する場合は境内から天開稲荷社に行くことになる、坂が多くなるので、標高の高いところまでバスで行き、参拝したわけだ。

■天開稲荷社

天開稲荷社拝殿

 天開稲荷社は稲荷神社なのでウカノミタマノミコトを主祭神としている。鎌倉時代に伏見稲荷大社から分霊・勧請された稲荷神社で、九州最古の稲荷神社とされる。

 赤い鳥居をくぐると右側に折れる登山道のような上り坂が続くが、5分とかからず登れるので太宰府天満宮から行くよりもいくぶん楽だ。

■奥の院が本当のパワースポット?

天開稲荷社奥の院は石室の中?

 拝殿左横にさらに上に向かう細い道があるが、登ると奥の院がある。登るといっても社殿の裏側なので15秒もあれば行ける場所である。古墳の石室を思わせる、まさに「穴の中」に奥の院があり、実際に入って参拝できる。

 1~2名しか入れないので、混雑していなければ神様と単独で向き合えるかもしれない。この厳粛な雰囲気がパワースポットと名高いゆえんなのだろう。

太宰府天満宮の仮拝殿

 拝殿の前には授与所があるが、御朱印は太宰府天満宮の授与所で受けるので、このまま太宰府天満宮の境内に降りていけば社殿の裏手に出る。参拝して天開稲荷社と2体の御朱印を受けることができる。

 なお、天開稲荷社の社殿左側には御神水が満ちていて、蛇口をひねればポンプ2台でくみ上げられた美味しい御神水を飲むことができる。豊富な水量なのでペットボトル等で持ち帰っても構わないということだ。

天開稲荷社の御朱印は太宰府天満宮で授与される

 なお、太宰府天満宮の授与所では前述の天開稲荷社の御朱印の他に、御守用の授与品も授けてもらえるので、天満宮でまとめて受けることも可能だ。参道を太宰府駅に向かって歩くとお土産店や飲食店が並ぶ。当地で有名なのはもちろん梅が枝餅だ。お土産の他に、できれば1個売りしている焼きたてを、その場で食べたい。

■バスマニアには400番乗り継ぎ!

まほろば号は西鉄都府楼前駅で400番に接続する

 どうしても路線バスだけで福岡市内に入りたいマニアの方には、太宰府天満宮最寄りの「宮前」バス停から前述のコミュニティバス「まほろば号」で西鉄太宰府駅を通り越し、西鉄都府楼前駅で下車する。そこで西鉄バスの都府楼前駅バス停から400番に乗車すれば博多駅まで行けるので、太宰府天満宮からは1回乗り換えだ。

 400番は博多駅と甘木営業所を福岡都市高速道路経由で結ぶ、西鉄屈指の長距離路線バスで、西鉄ファンには人気がある路線だ。最近はサービス向上のためトップドア車やハイデッカー車といった高速車が担当することもある。400番を乗り通すわけではないが、名物路線なので大宰府に「お出かけの節はご利用ください」。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。