10年後、20年後、30年後もクルマにバリバリ接しているであろう若者たちは、次世代モビリティ社会をどう考えているのか。自動車メーカーに言いたいことはないか。電動車にどんな期待をしているのか。そんなテーマで、2024年10月18日(金)「ジャパンモビリティショー2024」(千葉県・幕張メッセ)場内で開催されたステージイベントが『東京モビリティ会議2024 withベストカー』。近未来のクルマ社会が「自分ごと」となる、クルマ好きの若者たちの「本音」が次々と飛び出した! アツい意見の数々をダイジェスト的にお届けしよう!
文・写真:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock
協賛:トヨタ自動車、マツダ、スズキ
■2050年のクルマ社会は、今の若者たちにとっては「自分ごと」
日本政府が「カーボンニュートラル社会を達成」と規定した2050年は、今の若者たちにとっては「自分ごと」。(2024年現在から数えると)26年後ではあるが、若者である彼ら彼女らにとって遠い未来の話ではなく、いまここにある将来設計のひとつといえる。
ならば、若者たちに本音を語っていただこうじゃないか! ということで、『ベストカー』がそんな「場」を用意したのが、『東京モビリティ会議2024 withベストカー』。
登壇したのは、(上の画像左から)塩川雅人(司会/ベストカーWeb編集長)、西川昇吾さん(自動車ジャーナリスト)、黒木美珠さん(自動車系YouTuber/自動車ライター)。
さらに、ベストカーWebでアルバイトをしている板倉拓寿さん(成城大学生/自動車部員)、大坂怜央さん(成城大学生/自動車部員)。そして、一般公募として参加していただいた後藤和樹さん(空間デザイナー)、島崎真徳さん(群馬大学生)……という7名。塩川以外は全員20代というフレッシュさ!
4つのテーマ別に彼らの声をお届けしていこう。
■テーマ1【2050年のモビリティ社会に期待したいもの】
塩川雅人(以下、塩川):クルマそのものやエネルギーの話、補助金の件なども含め、いろんな見方があります。島崎さん、2050年は46歳になり現役世代ですね。いかがお考えでしょうか?
島崎真徳(島崎):自動運転レベル4~5を実現し、それとリンクするようにモビリティ産業が発展していたらいいなと思います。法整備など、まだまだ乗り越える壁や課題はあると思いますが……。
大坂怜央(大阪):自分はNA(初代)ロードスターを所有してることもあって、「愛車を持つ喜び」をいま感てじているし、2050年もその喜びを感じる人(中年オジサン)になっていると思います。そのいっぽうで、気分を変えて別のクルマでドライブしたい時、手軽に違うクルマに乗れる、カーシェアのハードルが下がっていればうれしいですね。自分の愛車とカーシェア、両立できればいいなと思います。
西川昇吾(西川):僕は静岡県裾野市で暮らしているんですけど、そこではコンビニもクルマで行くのが当たり前です。地方では生活するうえでモビリティは必要不可欠。高齢の方が移動できるパーソナルなものは、形を変えて残していく必要性を強く感じます。個人所有ではなく、みんなで共有し「ちょっとそこまで行こうかな」と使えるようなモビリティですね。
■テーマ2【日本の自動車メーカーに言いたいこと】
後藤和樹(後藤):僕の父親世代は、スーパーカーブーム真っ只中で若い頃を過ごし、格好いいな、乗ってみたいなという強烈な「憧れ」のなかで、クルマを所有する「喜び」があったと聞きます。その頃のクルマって、国産車も輸入車も個性が強烈でしたよね。どんなクルマが好きかで自分の個性が表現できた。
そんな頃と比べて今は……忖度なしに言わせてもらえば、デザインの最適化、均質化が進みすぎて、みんな似たフォルム、似たフロントマスクになっていると思います。
塩川:なるほど。ひとつのベース車があり、そのバリエーション展開でいくつか派生車が発売されるのは、開発コストを考えても、よくあるケースです。似たクルマが多いのは、モデル数が拡大するメリットにはなっていますよね……。
■クルマは「誰かの夢」「誰かの憧れ」であり続けてほしい!!
後藤:もうひとつありまして……。クルマが家電になっちゃいけないなと思います。BEVや自動運転などで制御が進んでいくなか、すべてのクルマが「そういうモノでいいか」となった時、僕はそこは違うんじゃないかと思っています。やっぱり(クルマは)「誰かの夢」や「誰かの憧れ」であってほしいから。クルマってそういう存在であり続けてほしいなと思っています。
黒木美珠(黒木):平準化しないで、軸や芯を「これ」だと決めたら、そのクルマのオリジナリティとして突っ走ってほしいですね。自動車メーカーさんには、これをお願いしたいです。その結果、共感してくださる方がどんどん集まるようになると思いますので……。
板倉:自動車メーカーにはもちろんクルマが好きな人が集まっていると思うので、将来も「走る楽しさを諦める」という方向には進まないと思います。燃料が電気になろうと水素になろうと、内燃機関車が残ろうと、自動車メーカーにはクルマの走る楽しさ、持つ喜びにこだわる人が居続けてくれると信じています!
塩川:なるほどですね。電動化というと「走行性能やファン・トゥ・ドライブは諦める」という話になりがち。でも、そうではなく、自動車メーカーの強みには、これまで長く、走る楽しさを追求してきた歴史があります。それを生かす電動化であってほしいですね。
■テーマ3【自動車の電動化はこうあるべき】
西川:「自動車の電動化」というよりは、「自動車のカーボンニュートラルはこうあるべき」というお話になると思うんですけれども、それこそ今、「マルチパスウェイ」っていう話があると思うんです。それを受けて、ユーザーのニーズに合わせて必要なパワーソース、エネルギーを選べるようになるべきかなと思います。
電動化という意味では、たとえば「街中を走る」や「長距離を走らないクルマ」って電動化のニーズにすごく合っていて、BEVは充電インフラの整備が必須だけど、でも近所しか走らない人、長距離を走らない人にとってはうってつけですよね。そういう使い方なら、効率的に電動化のよさがいきるんじゃなかと思います。
■「電動化=つまらない」という今の風潮を覆してほしい!
島崎:環境対策ばかり語られてきたことで「電動化=つまらない」というふうに理解されてしまっているのが、今の風潮かなと思います。でも、例えば電動モードの出力を最大にすれば、背中を押されるような物凄い加速感を味わえる! こういう電動化ならではの特徴を磨いてほしいです。「楽しい」を追求した結果、環境にも地球にもよかったです…と、目的と結果がいい具合に合致する感覚ですね。
塩川:電欠上等! という(笑)速さの追求ですか。
それで、ここに登壇してくださってる皆さん、かなりのクルマ好きで、内燃機関大好きレベルが99.9%だと思います(笑)。でも、電動化に対するアレルギーがあるというわけでもないですよね。だから、より格好いい電動車とか、より格好いいカーボンニュートラルの世界を自動車メーカーが先導して築いてもらうことも重要かと思います。
■テーマ4【自動車専門メディアのあり方をどう思うか?】
黒木:誰も置いてきぼり、取り残さないようにメディアは発展してほしいと思っています。私たちのようにコアなクルマ好きもいれば、移動の手段としか考えていない人もいる。
振れ幅が大きいなかで、クルマは社会で必要なもの。それだけに、個人個人で必要なクルマの情報をわかりやすく丁寧に届けられるようなメディアであってほしいし、そういうカタチにしていきたいですね。
板倉:ぶっちゃけたことを言わせてもらいますと、いま僕がベストカーWebでアルバイトしながら思っているのは、「自動車メディア全般が、昔に比べて保守的になったんじゃないか」ってことです。昔はもっと「攻めて」クルマの評価記事を載せていましたよね、と。
今は、いい部分を積極的に載せる方向。でも、クルマはモノなので悪い部分もあると思います。自動車メーカーさんとの関係もあり、なかなか書けないのかもしれませんけど(笑)、新車購入を検討している方は、「そういうところ(ネガな部分)」こそ知りたいんじゃないかなと思います。
塩川:いろいろな方(会場内にいる自動車メーカーの人)と今、目が合ってしまうんですけど(笑)、板倉さんの意見はもっともと思います。自動車専門メディアとして、守りに入る必要はもちろんありませんし、今後も真正面からクルマに向き合い、記事にしていこうと思います!!
【まとめとして】あと26年後。2050年もバリバリとクルマに触れるであろう今の20代の、次世代モビリティと自動車業界への熱き思いを感じた1時間。改めて、みなさん、内燃機関が大好きなんですね~!!
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