運転中に音楽を聴いているドライバーは多くいるが、カーオーディオシステムの進化に取り組む人はそれほど多くはいない。当連載ではその主たる理由が「分かりづらさ」にあると仮定し、カーオーディオ愛好家を増やすべくこれにまつわる「?」の解消を目指して展開している。

◆ツイーターの取り付け位置の候補は3か所。ファーストチョイスは「純正位置」!

今回は、高音を再生するための専用スピーカーである「ツイーター」の取り付け位置について考えていく。さて、これのベストポジションはどこなのか……。

ところで、ツイーターの取り付け位置の候補となるのは主には3か所ある。1つ目が「純正位置」、2つ目が「ダッシュボードの上」、3つ目が「Aピラーかミラー裏へのカスタムインストール」だ。

それぞれの利点と不利点とを説明していこう。最初に「純正位置」について。なおひと括りに「純正位置」といってもパターンは主には3つある。まず国産車では、ダッシュボードの両端に埋め込まれている場合が多く、それ以外ではAピラーやドアミラー裏に埋め込まれているケースが多めだ。

で、市販スピーカーに交換する場合にそのツイーターを「純正位置」に取り付けられれば、すっきりとした見た目を獲得できる。その点がここに付けることで得られる最大の利点だ。

とはいえ「純正位置」にすんなりと収められない場合も少なくない。大きさ的に入りきらなかったりステーが必要となったりするからだ。ちなみにどうしても「純正位置」に埋め込みたい場合には「カーオーディオ・プロショップ」に仕事を頼めば、改造を施してでも組み入れてくれる。しかしそうすると費用がかさむ。なのですんなり収められない場合には、「純正位置」はあまり向かない。

純正ツイーターがダッシュボードに埋め込まれている例。

◆「車種専用モデル」や「カスタムフィット」なら、「純正位置」に埋め込みやすい!

逆に、ツイーターを「純正位置」に収めやすいモデルもある。それはズバリ、「車種専用モデル」と取り付け性の高さをうたった「カスタムフィット」とか「トレードイン」と呼ばれるモデルだ。ただし後者の中には、「純正位置」に埋め込める車種が限定的である場合もあるのでご注意を。

ところで「純正位置」がダッシュボードの中である場合、その場所は実は音的には不利だ。なぜなら、「ツイーターから放たれた音を直接聴けないから」からだ。

ツイーターをそこに取り付けた場合リスナーは、フロントガラスに反射した後の音を聴くこととなる。それは状況としてはシンプルではない。まずフロントガラスの固有の響きが微細ながらも音に乗る。さらには反射した音はその後にさまざまな場所で反射するので、状況がどんどん複雑化する。

それと比べて「ダッシュボードの上」は、音的には有利だ。よりシンプルな状況を作り出せるからだ。ツイーターを見える位置に取り付けられるので、すなわちツイーターから放たれる音を直接聴ける。結果、サウンド制御もしやすくなり、そして多くの情報を受け取りやすくなる。

純正ツイーターがAピラーに取り付けられている例。

◆「ダッシュボードの上」は、コスト的にも音的にもアドバンテージを発揮!?

そして「ダッシュボードの上」にポンと置くようにして取り付ける場合には、取り付け費用がかかりにくいというメリットも発揮する。スピーカーにそれ用のマウントが付属していることが条件となるが、そうであればそのマウントの固定は両面テープでも行える。ましてやパネルをカットする等の改造の必要もない。

さらには、角度調整をある程度自由に行えることも利点だ。ツイーターは実は、向きによって聴こえ方が変わる。高音は真っ直ぐに進もうとする性質が強いので正対しているときにはたくさんの情報を受け取りやすくなり、逆に向きを少しずらすと得られる情報量や音圧が変化する。で、「ダッシュボードの上」にポンと置く場合には角度を調整することで、物理的なサウンドチューニングを行える。

ただしマウントのタイプのよっては、向きの調整可能な範囲がある程度限定的となることもある。上下や左右に動かせる範囲に、限度があることが多いのだ。

またダッシュボードが水平ではない車種では、ツイーターがあらぬ方向を向いてしまうこともある。そうであると「ダッシュボードの上」はツイーターの取り付け場所としての利点が減衰する。

対して「カスタムインストール」する場合には、その弊害はなくなる。次回の記事ではそのあたりについて詳しく解説する。お楽しみに。

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