十四代今泉今右衛門さんの作品など独創的な美術工芸品が並ぶ展示会=奈良市のなら工藝館

仏教をテーマにした美術工芸品を集めた展覧会「唯識(ゆいしき)と伝統工芸」が、奈良市のなら工藝館で開かれている。現代を代表する陶芸家や画家ら人間国宝を含む20人の独創的な作品が並び、仏教に思いを寄せる機会ともなっている。5月6日まで。

唯識はあらゆることを心の問題としてとらえる大乗仏教の思想の一つ。同展では、加藤朝胤(ちょういん)・薬師寺管主の監修でまとめられた書籍「唯識これだけは知りたい」(法蔵館)の刊行に際し制作された作品を展示している。著名な美術工芸家たちが仏教に対するさまざまな思いから生み出した。

有田焼の陶芸家で色絵磁器の人間国宝である十四代今泉今右衛門さんの「色絵墨色墨はじき草花文象香炉」は、釈迦の生母の摩耶(まや)夫人が懐妊したときに夢に現れたという象を題材とし色鮮やかな文様を施している。このほか、釈迦が前世で修行したという雪山とも重なる萩焼の陶芸家、十三代三輪休雪さんの「雪嶺」や青磁で知られる陶芸家、川瀬忍さんの「蓮の祈り」などが並ぶ豪華な展示会となっている。

十三代三輪休雪さんの作品

なら工藝館の企画広報担当、中村きららさんは「今回の展示会は仏教に触れる入り口にもなると思います」と話している。

開館は午前10時~午後6時で月曜休館。入館無料。4月20日と5月2、3、5日は出品している工芸家や加藤・薬師寺管主によるギャラリートークも予定している。問い合わせはなら工藝館(0742・27・0033)。

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