厚生労働省は5日、1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当する2023年の合計特殊出生率が前年から0・06ポイント下がり、過去最低となる1・20を記録したと発表した。出生数は前年比4万3482人減の72万7277人で過去最少を更新。都道府県別の合計特殊出生率は東京都が0・99で1を割って過去最低となった他、全都道府県で前年より低下した。死亡数と差し引きした人口の「自然増減」は84万8659人減で過去最大の減少となった。
23年の合計特殊出生率は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(中位推計)で「底」と推計された1・23を下回った。出生数は推計における33年と同水準で、およそ10年早いペースで少子化が進んでいるといえる。合計特殊出生率は今後わずかに上昇することが見込まれているが、人口を維持するために必要な2・07は大きく下回る。
合計特殊出生率は05年に当時過去最低の1・26を記録。15年に1・45まで持ち直したが、16年以降は8年連続で低下している。23年の値を5歳ごとの年齢階級別にみると、40歳以上は前年からわずかに上昇したが、40歳未満はいずれも低下。最も減り幅が大きかったのは25~29歳だった。
都道府県別で低いのは東京都に次いで北海道(1・06)▽宮城県(1・07)――。最も高いのは沖縄県(1・60)で、次いで宮崎、長崎県(ともに1・49)だった。
婚姻件数は、前年より3万213組減り、47万4717組で、戦後初めて50万組を割り込んだ。離婚件数は前年比4709組増の18万3808組だった。
死亡数は前年比6886人増の157万5936人で過去最多を更新した。死因別のトップ3は、がん24・3%(38万2492人)、心疾患14・7%(23万1056人)、老衰12・1%(18万9912人)だった。新型コロナウイルス感染症による死亡は2・4%(3万8080人)で、前年の4万7638人から減少した。
厚労省の担当者は「経済的な不安定さや仕事と子育ての両立の難しさなどさまざまな要因が絡み合って少子化につながっているのではないか」と推察した。【塩田彩】
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