能登半島地震で津波が押し寄せた新潟県上越市の海水浴場。資材が流されるなどの被害が出た「海の家」は急ピッチで復旧を進め、13日の海開きに合わせて一部が営業を始めました。長野県民が親しむ「信州の海」の姿を取り戻しつつあります。


元気いっぱいに遊ぶ子どもたち。ここは新潟県上越市の「なおえつ海水浴場」。13日、海開きを迎え、早速、信州から多くの人が訪れていました。

子ども(宮田村から):
「気持ちいい」「楽しい」

子ども(松本市から):
「気持ちよかった」「冷たくて気持ちよかったです」

母親:
「(子どもたちが)すごくはっちゃけているので、連れてきて良かったなと思います」


浜茶屋の組合長を務める桑原尚二さん(59)。にぎわう海を見て胸をなでおろしました。

なおえつ浜茶屋組合・桑原尚二組合長:
「ほっとしていますね、とりあえずは。本当にできないと思っていたので。今年は完全に経営は無理というか、海水浴場の設営も無理というところから入ったので」


「信州の海」として親しまれている上越の海水浴場。2023年、なおえつ海水浴場には、4万6000人余りが訪れました。その8割は県外客で、多くを長野県民が占めているといいます。ただ、コロナ禍前の3割程度。関係者はこの夏に期待していました。

しかし…。

元日の能登半島地震。津波が発生し、なおえつ海水浴場にも。砂浜にあった、海の家の資材が流され、散乱しました。


一変した海水浴場。7軒の海の家全てが被災し、被害額は1億円近くにのぼりました。

被災後、組合は市の協力を得ながら撤去作業を開始。
3月までにおおむね片付け終え、今シーズンの営業に向けて急ピッチで準備してきました。


7月1日の安全祈願祭の時点で、7軒中5軒は営業の目途が立ちました。

なおえつ浜茶屋組合・桑原尚二組合長:
「行政、関係各所の皆さんの協力にり、ここまでたどりついた。本当に感謝しかない」


そして迎えた13日の海開き。薄曇りでしたが、陽ざしもあり、まずまずの初日でした。

松本市から:
「海開きに合わせて、海で遊ぶことができて良かった。一生懸命、復興作業をされていて、少しでも海に来て、私たちも貢献できたら」


この日に合わせて市が設置したものがあります。津波対策の避難階段です。海岸に2カ所、設けました。

上越市観光振興課・小関政明さん:
「エリア全体が広く、端にしか避難路がないと全体をカバーできないということで、2カ所設置することで避難経路も短縮でき、すぐに上の道路へ逃げられるので、われわれとしても安心な海を提供するという面で、すごくほっとしている」


初日に営業が間に合った海の家は2軒。

こちらは「海の家すず風」です。

松本市から:
「快適だったと思います、おいしくご飯もいただいて」

群馬県から:
「うれしいですね。ここがないと群馬、海なし県ですから、ここをベースにしているので、ここがないとだめなので」


こちらは「浜茶屋むつみ」。オーナーは飯山市で建設会社を経営する宮嶋辰男さん(72)です。25年、夏の間は家族で海の家も営んできました。

浜茶屋むつみ・宮嶋辰男さん:
「なんとか100%ではないけど、お客さん入れられるまできたから、ほっとしている」

津波で多くの資材が流されたため、新たに調達、以前より2メートルほど標高が高い民有地に場所を移して「海の家」を建てました。


最初の客は上田市から来た親子。毎年「浜茶屋むつみ」を利用しています。

浜茶屋むつみのスタッフ:
「細く切るのがうちの売りなんですよ。これ好評なんですよ」

泳いだ後は、店で一番人気のイカヤキを注文。

娘(7)・上田市から:
「おいしい。(海の好きなところは?)貝がいっぱい落ちてる」

母(40代)・上田市から:
「(津波が来た時は)とても心配した。また夏行きたいと思っていたので、かなって良かった」

浜茶屋むつみ・宮嶋辰男さん:
「学校が休みにならないと、本格的に盛り上がらないだろうけど、コロナも落ち着いたし、コロナ前の景気に戻ってくれればいいなと」


残る3軒は夏休みが始まる7月下旬には営業を始める予定です。

組合長の桑原さんの海の家は、7月20日をめどにいつもと違った「スタイル」で営業を始めます。

なおえつ浜茶屋組合・桑原尚二組合長:
「本来でしたらゴザを敷いて、屋根をしっかりかけて、テーブルでくつろいだり、寝たりする箱を造りたかったが、材料が足りないというのがまずあって、違う形でということで、今、テラスを造っています」

テラス席の他にレンタルスペース(8棟)も。

プライベートな空間で休める他、砂浜では禁止されているバーベキューもできます。


急ピッチで準備が進む「海の家」。この夏も例年通りの「信州の海」の姿に戻りつつあります。

なおえつ浜茶屋組合・桑原尚二組合長:
「津波被害のニュースで皆さんびっくりしたと思うんですけど、行政の方で避難階段を設営したり、いろいろやっていただいているので、とりあえず安心はできるかなと思います。長野だと夏休み(の始まり)が26、27日あたりだと思うので、その頃には完全に受け入れ体制ができているはずなので、楽しみにしてください」

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