パリオリンピック卓球女子団体で銀メダル、シングルスで銅メダルを獲得した早田ひな選手(24)が、大会を終えて行きたい場所として「鹿児島の特攻資料館に行きたい」と発言した事が、SNSなどで大きな反響を呼んでいる。

早田選手は13日の帰国直後に開かれた会見で、今やりたいことは何かと質問されると、「アンパンミュージアムに。ちょっとポーチを作りに行きたいなと思っている」と、地元の福岡にもあるアンパンマンミュージアムを取り上げた。

それに続けて、「あとは、鹿児島の特攻資料館に行って、生きていること、そして自分が卓球がこうやって当たり前にできていることというのが、当たり前じゃないというのを感じてみたいなと思って、行ってみたいなと思っています」と続けた。

第二次大戦末期に、爆装した飛行機もろとも敵艦に体当たりする“特攻”をした特攻隊員の遺品などを展示する施設に行きたいという、トップアスリートの意外とも言える発言。SNSでは、「グッときた」「泣けた」「私も行ってみたい」「あれから79年、日本にはまだまだ素晴らしい若者がいます」など大きな反響があった。

鹿児島県には、南九州市知覧町の「知覧特攻平和会館」や、南さつま市の「万世特攻平和祈念館」、鹿屋市の「鹿屋航空基地史料館」など特攻隊関連施設があるが、今回は「知覧特攻平和会館」に、早田選手の発言について受け止めなどを聞いてみた。

――早田選手の発言を聞いてどう思われましたか?
「早田選手の発言でより多くの皆様に当会館のことを知っていただく機会をいただき大変ありがたく感じております。また、若い世代の「特攻」を知らない皆さんにもこれを機会にご来館いただき、特攻の史実を知っていただければ幸いと存じます」

――早田選手が来館した場合、どこを見て欲しい、どういう所を知って欲しいですか?
「知覧特攻平和会館では陸軍の沖縄戦における特攻作戦で散華された1036名の隊員の遺影や遺品を展示しております。隊員の多くは早田選手と年齢も近しい年代です。それらを見学いただくことで,会見でも話されておられるよう、生きていることのありがたさや、命の尊さ、平和のありがたさを感じていただければ幸いと考えます」

知覧特攻平和会館では終戦の日の明日、「平和へのメッセージfrom知覧スピーチコンテスト」というイベントも開催される。全国から応募された作品の中から、1次・2次審査を通過した中・高校生各4名と一般の部1名がスピーチを行うという。

特攻隊を巡っては、現代の女子高校生が戦時中の日本にタイムスリップして特攻隊の青年と出会う映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」が大ヒットして、若い世代でも関心が高まっている。

明日で終戦から79年を迎えるが、戦争を知らない世代が多くなる中、早田選手の今回の発言が、戦争や特攻について若い世代が学び、「生きていることのありがたさや、命の尊さ、平和のありがたさ」を実感する機会になることを願う。

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