今回の特集のテーマは、警察に届けられる「落とし物」です。
届けられるものは物…、だけではありません。
コロナ禍が明けからある「生き物」の落とし物が増え続けています。
トカゲ・ヘビ・カメに鳥…
これらの生き物は、一般的に飼育されている犬や猫と区別して「エキゾチックアニマル」と呼ばれています。
【ヘビやトカゲを飼っていた女性】
「どうしても欲しいって、あのつぶらな瞳が、どうしても忘れられない。お願いだからヘビ飼わせてほしいと言ったら旦那のほうがドはまりしてしまって」
SNSなどで話題となる、いわゆる「バズる」動画などを見て専門店に買いに来る人が増加。
色や柄、表情など独特な姿や、見た目の可愛さから飼育する人が増えているいうことです。
しかし、今月9日、福山市の警察署にある「落とし物」が…体長80センチもある南米産のオオトカゲ「レッドテグー」です。
飼われていた家から逃げ出し、道端を歩いていたところを通りがかりの人に捕獲されました。
【捕獲した人】
「トカゲが普通に道を歩いていた。大きかったので気持ち悪かった」
このように「エキゾチックアニマル」が「落とし物」として警察署に届けられる件数はコロナ禍が明けてから増加しています。
【佐伯署会計課・二橋 功課長】
「様々な動物が店舗やネットで流通していて、容易に飼育できる環境になってきている」
エキゾチックアニマルが落とし物として届けられる件数は広島県内で、去年、149件に上りました。
爬虫類など、定番のペットではない生きものの数が急増しています。
【佐伯署会計課・二橋 功課長】
「なかなか(生きもの)に関する知識も経験もありませんので、(警察の)負担が大きくなっているのは正直なところ」
日本の自然環境の中で生息していない生物は、そもそも所有者がいることが前提のため道端などにいると「落とし物」として扱われることがほとんどです。
一方で、なぜ路上などで発見されることになるのか。
爬虫類専門店の吉田貴成さんはこう指摘します。
【爬虫類専門店「ファインレプタイルズ」吉田貴成代表】
「特性を考えてやっていない。この子達って見た目によらずすごいんですよ、力が。それで頭がいいので一回脱走すると脱走したところを重点的に狙ってくる。散歩がいらない・鳴かないっていう理由で(飼う人が)多かったんですけど、飼育自体はまあ難しい」
問題は逃げ出すリスクだけではありません。
吉田さんのもとには飼えなくなったため、引き取ってほしいという相談も来るといいます。
【爬虫類専門店「ファインレプタイルズ」吉田貴成代表】
「飼えませんって言われる方は大半が仕事が忙しくなりましたとか。今まではオンラインやズームとかで会社の会議とか参加できたけど、今度は実際に出社しないといけなくなってきた」
13年間にわたってエキゾチックアニマルを飼育してきたこちらの女性、生き物の世話をする難しさを痛感したといいます。
【ヘビやトカゲを飼っていた女性】
「大変だったのはエサやりがそれぞれ違うんで、それぞれに準備してやって世話の仕方も違うし、やっぱり温度も違うし、カメレオンも買ってたんですけど、カメレオンは換気と湿度、両方難しくて両方しっかりしないとだめできれいな水じゃないとダメ」
専門知識はもちろん、電気代やエサ代などにかかる費用が膨大になるため、飼育に悩まされる飼い主もいるということです。
中には、捨てられ、飼い主が現れないことも…。
過去にはイグアナやヘビを専門店が引き取るケースもありました。
【爬虫類専門店「ファインレプタイルズ」吉田貴成代表】
「結局持ち主出てこなかったので、3件ともですね里親という形で常連さんにお願いして「いいよ」ということで(常連さんに)引き取ってもらいました」
様々な理由で「落とし物」となり警察署に届けられる生きものたち。
「3カ月」の期限の中で引き取り手を探す必要があります。
【佐伯署会計課・二橋 功課長】
「警察で落とし物の保管をする期間は3カ月。引き取り手が見つからない場合ですね、長期間にわたり警察署で保管することもありましてペットショップに相談したり動物愛護センターに相談したり飼養する方法を指導を受けながらやっている」
県警は、エキゾチックアニマルの「落とし物」を減らすためにも飼い主の意識の改善を訴えます。
【佐伯署会計課・二橋 功課長】
「飼育する以上は、遺棄や脱走することが無いようにしていただいて、動物愛護の精神を持って終生飼育していただきたい」
「バズる」動画の影で行き場を失うエキゾチックアニマル。
命ある生き物に対して飼い主がどう向き合っていくのか、いま問われています。
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