子供の頭髪に寄生することの多い「アタマジラミ」。

卵がフケと間違いやすく、つまんでも取れにくいのが特徴で、決して不潔だから寄生するのではないという。

もし、子供の頭髪に「アタマジラミ」を見つけたらどうすればよいのか。

対処法や他のシラミとの違いについて、虫ケア用品などの日用品の製造・販売を行うアース製薬に聞いた。

人に寄生するシラミは3種類

「人に寄生するシラミには、頭部に寄生する『アタマジラミ』、陰毛などに寄生する『ケジラミ』、衣類などに寄生する『コロモジラミ』の3種類がいます。感染経路を知ることで、感染を予防することができます」

頭部に寄生する「アタマジラミ」の成虫(画像提供:アース製薬)
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アタマジラミは成虫の体長が2~3mm程度で、人の頭髪に寄生し吸血する。

保育園では集団で昼寝をしたり、幼稚園児や小学校低学年の子供は頭を寄せ合って遊んだりすることが多いため、感染率が高くなるそう。

「アタマジラミは、プールや銭湯などで、バスタオルやヘアブラシといった体に触れるものを他人と共用することで感染するケースも考えられます。不潔だから寄生するというわけではなく、清潔にしていても寄生することがあります」

アタマジラミの卵(画像提供:東京都保健医療局)

ちなみに、東京都保健医療局によると、アタマジラミは年間を通して感染する可能性があるとのこと。

人の頭に寄生するため外気の影響を受けにくく、繁殖せずに休む季節などがないようだ。東京都保健医療局にも、時期を問わずアタマジラミに関する相談が届く。 

メス・オスの区別は目視では困難だが、メスのアタマジラミが寄生した場合は、1匹だったとしても卵を産み繁殖するという。

シラミとトコジラミは違う

ケジラミの成虫は体長1~2mm程度とアタマジラミより小さく、カニに似た形が特徴。

陰毛に寄生することが多く、性交渉で感染すると考えられる。

ケジラミ(画像提供:東京都保健医療局)

ごく稀にベッドや衣服を介して感染することもあり、わき毛やまつ毛に寄生するケースもあるという。

衣類などに寄生する吸血前の「コロモジラミ」(画像提供:アース製薬)

コロモジラミの成虫は体長2~4mm程度で、主に人の衣類に寄生する。

同じ服を着続けた状態や万年床(まんねんどこ)の場合、衣類や寝具に卵や成虫が見られることがあるそう。

「ちなみに『トコジラミ』も人の血を吸う害虫ですが、カメムシの仲間でシラミとは異なります。夜間に活動し、体長も5~8mm程度とシラミより大きく、見つけやすいといえるでしょう」(アース製薬担当者)

早期発見・駆除が重要になる

「アタマジラミ」が子供の頭髪に寄生していたら、かゆみや湿疹などを起こしている可能性がある。

子供が頭をかいている姿を見かけたら、まずは頭髪を確認してみてほしい。

子供が頭をかいていたら頭髪の確認を(画像:イメージ)

保育園や幼稚園、学校などで集団発生させないために、身近な人によるシラミの早期発見・駆除が重要になる。

体長数ミリのシラミを髪の毛の中から見つけるポイントは「卵」だ。

「アタマジラミの成虫は動きが速いので、見つけるのは困難です。子供の頭が気になるようであれば、卵を探してみましょう。卵は乳白色の楕円形で光沢があります。

成虫より小さく、フケと見間違えやすいですが、指でつまんで引っ張っても取れない場合は卵の可能性が高いです。

そして、子供の頭にシラミが寄生している場合は、できれば親や他の人、子供らと頭をくっつけない、体に触れるものを共用しないといった対策を取りましょう」(アース製薬担当者)

放置していればシラミがいなくなる、というわけではない。子供から大人に感染する可能性もあるため、周りの人への感染を防ぐ意味でも、シラミを早めに駆除する必要もある。

洗濯物は55℃以上のお湯に5分つける

「ヘア・ボディケアに広く使われる有効成分のジメチコンを使用したローションタイプの駆除剤がおすすめです。当社の『アース シラミとりローション』などが挙げられます。

ローションで成虫や幼虫、卵を包み込み、ジメチコンでコーティングして動けなくして、水分代謝を抑制することで駆除できます。

長年使用されてきたピレスロイド系の薬剤に抵抗性を持つアタマジラミにも効果があります」(アース製薬担当者)

「アース シラミとりローション」(画像提供:アース製薬)

乾いた髪にローションを塗布し、5分置いてから普段使っているシャンプーで洗い流せばよいので、シャンプー嫌いな子供も1回で済ませることができるという。

もし、子供が「アタマジラミ」に感染していたら、衣類や寝具の洗濯も気をつけたい。

「枕カバーやシーツを取り換える際は、55℃以上のお湯に5分以上つけてから洗濯することで、衣類や寝具を介した感染を予防できます」(アース製薬担当者)

いつどこで感染するかはわからないシラミ。子供が頭をくっつけないなどの対処をするのは難しい。親がアタマジラミの対策を知って、感染した場合にすぐに対処できるようにしておこう。

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取材・文=有竹亮介
イラスト=さいとうひさし

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