激戦の末、「石破新総裁」が誕生しました。
長らく石破氏への取材を続けてきた、ジャーナリストの鈴木哲夫さんが解説します。
■立憲・野田代表の選出がターニングポイントとなったか
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「とにかく党員票というのは、皆さん早めに投票しているんですよね。
変化が出てきたのは、今週に入って立憲民主党の代表選挙がありましたよね。それで野田さんが(代表に)選ばれてから、ちょっと議員の反応が変わってきたんです。
僕はできる限り、衆議院、参議院の議員にいろいろ聞いたんだけど、『決選投票になったらどうする?』と。
そしたら衆議院議員は何を言っていたかというと、『野田さんが敵方のトップになったということは、これからは相当、論戦が必要だ』と。
「例えば、自民党で論戦をやれるのは誰かと。高市さんも弁は立つんだけども、高市さんは保守ですよね。で、野田さんも保守ですよね。
それでこの2人が論じているのをイメージしたら、実は野田さんの方が『穏健保守』で、割と幅広い保守層に『野田さんの言っていること、正しいじゃない』と(伝わる)。
逆に高市さんは、恐らくそういう論戦になると、より先鋭的な保守になっていくんですよね」
(Q.中道派を取り込めなくなる?)
「そう。だからここは高市さんでも(小泉)進次郎さんでもなく、決選投票は石破さんかな、と」
■議員たちは「1年先まで『長持ち』している人は?」と考えたか
「あと、参議院議員が言っていたのは『1年後』だと。1年先まで『長持ち』している人は誰かな?ということになると。
高市さんは特に、外交がこれから難しくなってくる中で、リスクがあるわけですよね。そうすると、“1年後の安定”を考えると石破さんかな、なんて。
つまり、今週に入って野田さんが選ばれた後、ちょっと議員の反応が『石破さん(支持)』という人が増えてきていたんですね。
だから最後に議員票がガッと石破さんに出たのは、本当にこの1週間、最後のそういう衆議院・参議院それぞれの選挙に関する判断、これが動いたような。僕の取材実感では、そんな感じがしますね」
鈴木さんの分析では、ターニングポイントは立憲・野田代表の選出。それによって終盤に大きく動いたということです。
■「石破氏の防災について期待」とジャーナリスト浜田氏
一方、番組コメンテーターでジャーナリストの浜田敬子さんは石破新総裁と決選投票に残った高市大臣について、次のように述べました。
【浜田敬子さん】「『夫婦別姓』などのジェンダー政策については、石破さんのほうが積極的にやってくれるだろうと期待しています。
高市さんは、初の女性総理の候補でしたけども、ジェンダーの政策についてはすごく後ろ向きだったんです。だから、比較的女性には人気がなかったです。
時代に合った政策、家族感とかも変えていかないといけないところを変えてほしい、というのと、すごく石破さんがおっしゃっていたのは、防災についてですよね。
能登の豪雨の被害もありますけども、各地でこれだけの災害が起きた時に、今の体制では間に合わない。地方自治体が足腰弱ってきている中で、国としてどうやって防災に取り組んでいくのか、地方も含めて、一生懸命やろうとしてらっしゃるので期待しています」
石破さんの政策で課題や懸念点はあるのでしょうか。
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「まず、防災省については絶対にやるべき。人の命以上のものは政治にはないですからね。
でも不安は、あえて厳しいことを言うと、石破さんは議員票を集めるためにいろんなところに頭を下げているわけですね。その中の1人が岸田さんなんですよ。
それで、経済政策については『岸田路線を継承する』というようなことをこの前、わざわざ言っているんですね。
いやらしい言い方だけど、『握ったのかな』と思ったわけですよ。つまり、『岸田さんの経済政策を継承します。だから(票を)お願いします』みたいな話がもしあったとすれば、ちょっと厳しい言い方ですが、これは果たしてどうなのかと思います。
今までの岸田さんの経済政策が良かったのかという検証も済んでいませんよね。じゃあ安倍さんの時代に戻すか。これも実は良くない。
今の時代・状況にあった経済政策を、“石破さんらしい”ものを出さないと、(岸田政権の経済政策を)継承していったら財務省の手のひらに乗っかったりとか、いろんなことになっていくのでね。ここはしっかりやってほしいと思いますね」
■そして「解散総選挙」についてはどうなる?
さらに気になるのは解散総選挙についてですが、関西テレビの神崎デスクは次のように私見を述べました。
【関西テレビ 神崎 博報道デスク】「小泉さんが新総裁になった場合は、すぐ解散するのではないか、10月27日なんていわれていましたが、石破さんは多分、予算員会までちゃんとやるべきという考え」
「1つは選挙の掲示板ジャックのような問題。あれが繰り返されないように法改正しないといけないと。それから能登半島の豪雨ですね。あれに対しても補正予算をつけるべきだという意見があったりするので、そこはちゃんと予算委員会を開いて審議するので、もしかしたら11月10日くらい、早くてもね。そうすると、兵庫県知事選挙とダブルになるかもしれませんね。そこら辺が濃厚かなといわれていますね」
この辺りの様相について、鈴木さんはどのように考えているのでしょうか。【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「神崎さんと同じですね。石破さんは僕にはっきり言いました。『自分が総理になったら予算委員会まできちんとやる』とはっきり言いましたから、それを考えると、11月10日、もしくは11月17日。それ以降になると、今度は来年度の予算編成とか、ちょっと外交日程も11月後半に入ってくるので、それを考えると11月10日もしくは17日、その間にしっかり予算委員会をやって、論戦をやってと。こんなスケジュールになるのかなという気がします」
10月から始まる“石破政権”の動向に注目です。
(関西テレビ「newsランナー」2024年9月27日放送)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。