NECは3日、学校向けノートパソコンの新機種「NECクロームブックY4」を発売した。床に落とす、鉛筆を突っ込む、砂場に埋める――。そんな小学生にありがちな機器トラブルにも耐えられるよう、頑丈で壊れにくく改良した。
教育現場に配備された端末を巡っては、思わぬ故障も続出。企画したNECパーソナルコンピュータ商品企画グループの石井宏幸グループマネージャーは「壊れたパソコンを分解したら砂が出てきたことがあって、『どうも砂場に埋めたらしい』と聞きました」と語る。精密機器に対する大人の常識は、小学生には通用しないと痛感したという。
NECによると、教育現場で発生した故障の原因の大半は「落下」だという。2021年4月~23年8月、NECパーソナルコンピュータの工場で扱った修理約1万2000件のうち、故障部位で最も多かったのは液晶パネルを支える天板で43%。次いで液晶パネルが24%を占めた。
教室の机は端末や教科書などを広げて置くには狭く、不意に落下させてしまう事故は少なくない。そこでY4は端末底部に取り付ける滑り止めのゴム足の数を増やし、机との接触面積も広げてずれにくくした。
「穴があると鉛筆などを差し込みたくなる」(石井さん)という子供たちの心理を考慮し、ケーブルなどを差し込む開口部も減らした。右利きが多い点も踏まえ、開口部は端末の左側にまとめて配置。滑った鉛筆などが意図せず入り込む事態も防げるよう、開口部を机上に置いた鉛筆の芯よりも高めの位置に設計するなど細部まで気を配った。
教育現場では端末のネジが緩んで脱落する故障が相次いでいることに着目し、開発時の耐久試験の項目も追加した。児童・生徒が端末を持って登下校する際、「ランドセルに端末を押し込んで自転車のかごに入れる」というケースを想定。端末底部に圧力を加えた状態で繰り返し振動させ、より過酷な環境にも耐えられるよう強度を高めた。
政府は小中学生が1人1台のパソコンなどの端末を使って学べる「GIGAスクール構想」を推進中で、Y4はこうした端末の買い替え需要を狙う。25年2月に出荷を始め、28年度までに200万台の販売を目指している。【安藤龍朗】
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