「朝食に味噌汁は欠かせない」という人もいるだろう。
その味噌は加熱することで抗酸化力が上がるが、一方で温度によっては乳酸菌や酵母を死滅させてしまうこともある。
東京慈恵会医科大学附属病院の栄養部が監修した『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)から、栄養を丸ごと摂ることができる味噌の使い方を一部抜粋・再編集して紹介する。
毎日の味噌汁にプラスしたい食材
味噌には大豆サポニンや大豆イソフラボンなどの抗酸化成分が豊富に含まれています。味噌の抗酸化は、しょうがを加えるとポリフェノールが1.5倍に増え抗酸化力が増加します。
にんにくを加えればLDL-コレステロール値を下げる効果も期待されています。
味噌に含まれる大豆イソフラボンには免疫力を調整する働きがあります。
血行を良くして、免疫細胞を活性化させる長ねぎを加えることで、さらに免疫力がアップ。
免疫細胞を強化するフコイダンや、海藻の免疫力アップ成分・LPSを豊富に含むわかめなどもおすすめです。
味噌は2回に分けていれると良い
以前は味噌の塩分が高く高血圧リスクを高めると言われてきましたが、高血圧を予防する可能性があることがわかってきています。
味噌の塩分は発酵の過程で別の成分に変化するためと考えられています。
この記事の画像(3枚)また、味噌は加熱することで、抗酸化力が上がります。
大豆イソフラボンなどは減るものの、加熱で味噌の抗酸化物質メラノライジンが増えることが原因だと考えられています。
一方で、味噌に含まれる乳酸菌は50℃、酵母は70℃で死滅してしまいます。腸内環境改善を目指すなら、火を消して10分ほど待ってから味噌を溶くと◎。
ただし抗酸化力は加熱で上がるので、2回に分けて入れるとさらに良いでしょう。
朝は赤味噌、夜は白味噌がおすすめ
ご飯と味噌汁は和食の基本です。この組み合わせは、ご飯に不足している必須アミノ酸・リジンを味噌汁が補います。
ご飯は味噌に不足するメチオニンを含むため、アミノ酸スコアを100にする組み合わせなのです。
蒸した大豆を発酵させる赤味噌は代謝をアップさせるメラノライジンが豊富なので朝におすすめ。また、煮た大豆を発酵させる白みそは眠りの質を高めるGABAが豊富なので、夜に摂るのがおすすめです。
味噌に含まれる乳酸菌は、胃酸によってその多くが死滅してしまいます。
しかし難消化性の食品であるこんにゃくと乳酸菌を一緒に摂ることで、胃の中で生存率をぐんと上げます。生きたまま大腸に届くよう、乳酸菌を守ってくれるのです。
監修者:
濱裕宣
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長。日常生活で活かせる健康と栄養バランスをモットーに、患者の立場に立った食生活に向上指導にあたる
赤石定典
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部。栄養食事指導によって、病態改善・治療・治癒への貢献を目指す
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