朝晩の気温が下がり秋の気配が感じられるようになってきたこの頃、「体調がいま一つ」という声が多く聞かれるようになった。季節の変わり目で風邪だと思い病院に行ったら実は〝秋の花粉症″と診断されるケースが増えているという。この夏の猛暑が関係しているのか?福岡の病院を取材した。
咳や呼吸器症状が多くなる‟秋の花粉症”
福岡・那珂川市の『じんのうち耳鼻咽喉科・内科』には、大勢の患者が診察の順番を待っていた。「咳が出るとか喉がかゆい」と訴える患者。咳や鼻水など風邪のような症状だ。陣内進也院長は「秋の花粉症ですね」と診断した。秋の花粉症の症状は、咳や呼吸器症状が多くなってくるという。
この記事の画像(7枚)春だけでなく秋も多くの人を悩ませる花粉症。秋の花粉は春の花粉より小さく、気管支に入りやすいため呼吸器に症状が出やすいという。来院していた女性の1人は「鼻が詰まるのと鼻水が止まらないので頭がぼーっとして日中眠く、夜は鼻水で眠れず辛い」と話していた。
この病院では秋の花粉症の患者が増えていて1日に平均20人以上が診察に訪れている。「通常は9月ぐらいから秋の花粉って来られるんですけど、今年はちょっと遅かった印象がある。たぶん暑かったせいだと思いますけどね」と陣内院長は話す。
‟秋の花粉症”原因はブタクサなどの雑草
一方、福岡市の『福岡病院』では、屋上で花粉調査員の児塔栄子さんが花粉のついたスライドガラスをチェックしていた。児塔さんは市内を飛んでいる花粉を毎日採取して、その種類や量を調査しているのだ。この季節、特に多いのがブタクサ。春の花粉症で知られるスギなどとは異なり、秋の花粉症はブタクサやヨモギなどの雑草が原因とされている。
福岡病院では9月中旬から毎日秋の花粉が確認されている。「9月中旬くらいから増えて今が1番多い。11月下旬くらいまで注意が必要」と児塔さんは語る。
夏の猛暑と豪雨で花粉量が増加
福岡市内の川岸には「オオブタクサ」が鬱蒼と茂っている。「草をちょっと抜いたりすると花粉がすごい。目は痒いし、ひどいと鼻水だけでなく咳も出る」と近くに住む住民は、頭を悩ませている。
身近なところに生え、秋の花粉症を引き起こすブタクサなどの雑草。花粉症に詳しい日本医科大学大学院の大久保公裕教授は、今年の夏が非常に暑かったのでその影響でイネ科ブタクサの花粉というのが増え、同時にゲリラ豪雨によって舞う花粉量が増えているので吸う機会が増えていると指摘する。
さらに秋の花粉症の原因となるブタクサやヨモギ、ススキなどの花粉は、飛散距離が500キロメートルもある春のスギ花粉と比べ200メートルから500メートル足らずとあまり遠くまでは飛ばないものの、症状を引き起こすリスクは身近に潜んでいるというのだ。
子供は症状が重くなるケースも…
原因となるブタクサ、ヨモギなどは足元にあるため、その上を歩くと花粉を直接吸うことになり急激なアレルギー反応が出る可能性もある。また、背の低い子供は多くの花粉を吸い込み症状が重くなるケースもあるため、特に注意が必要だ。対策としては、河川敷など自然の多い場所は避け、なるべくコンクリートの道を通ることで花粉を吸い込む量を軽減できるとのことだ。
2025年春は過去10年で最多の飛散か
一方、秋の花粉症シーズン後に気になるのが2025年の春の花粉だ。ウェザーニューズによると、2025年春の花粉飛散は、西日本で過去10年のうち最多に匹敵する大量飛散の恐れがあるという。福岡でも2023年の約2.5倍の花粉の飛散が見込まれている。花粉症に悩む人々にはこの秋から来春にかけて、例年以上にしっかりした花粉症対策が必要となりそうだ。
(テレビ西日本)
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