世界的に有名な音楽家と中学校の吹奏楽部が共演する演奏会が、10月19日に秋田・潟上市で開かれる。音楽家が手がけた新たな楽曲の初演の舞台となる今回の演奏会。参加する子どもたちの公演にかける思いを紹介する。
中学生とプロの音楽家の共演
北東北で初となる国際音楽祭として2022年から毎年開かれている「秋田・潟上国際音楽祭」。潟上市出身のピアニスト・千田桂大さんを中心とした実行委員会が、国際的に活躍する音楽家を県内に招いて演奏会を開き、県民に一流の音楽に触れる機会をつくってきた。
この音楽祭の見どころの一つが、子どもたちが演奏に参加する企画だ。2024年は10月19日に、潟上市の天王・羽城・天王南の3つの中学校の吹奏楽部とプロの音楽家による共演が予定されている。
生徒たちと共演するのは、ドイツを代表する音楽家のレインハルト・ジーハファーさんだ。音楽祭の実行委員長を務める千田桂大さんは、ジーハファーさんについて、「ドイツに行った人からしたら、日本のプロ野球ファンに『長嶋茂雄ってどこがすごいの？』って聞くような感じ」と評価した上で、「おそらくジーハファーさんは辞書に名前が残るような人。辞書に名前が残るような人と接することで、その子たちのポテンシャル以上のものを出して、本気を出すことの大事さを味わってほしい」と話す。
世界初演の曲に挑戦
今回の公演で注目されているのが、ジーハファーさんの作曲で初めて披露される楽曲「ブルームーン」だ。
潟上市での公演に向けて中学生たちを指導している、ピアニストで作曲家の佐市さんは、「ブルームーンという曲に宿した意味がある。奇跡とか、苦難を乗り越えるといった意味がある。世界初演の曲にみんなで立ち向かっていこう、これを乗り越えて、気持ちを盛り上げて、熱く潟上を盛り上げようという意味が込められている」と曲の持つ意味を生徒たちに伝えた。
ブルームーンは、特定の旋律を反復させる「ミニマルミュージック」と呼ばれる音楽の要素が取り入れられていて、楽器同士の音を合わせることが難しい。生徒たちは、佐市さんとサックス奏者の本谷京さんのアドバイスを受けながら、本番に向けて日々練習に励んでいる。
天王南中学校吹奏楽部の長谷川日和さんは、「今回、国際音楽祭という貴重な機会をもらったので、みんなと楽しんで、心を一つにして頑張って演奏したい」と意気込む。また、田村紗弥さんも「練習は緊張したが、ためになることばかりだったので、これからに生かしたい」と意欲的だ。
生徒たちの指導にあたる佐市さんは、「生徒たちは自己表現ができていると感じているので、練習中も良い笑顔が見られている」と話し、本番に向けて期待を高めている。秋田の未来を担う子どもたちと、世界屈指の音楽家による夢の共演は、まもなく開演する。
（秋田テレビ）
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