2035年には384万人分の労働力が不足する(東京・丸の内の通勤風景)

パーソル総合研究所と中央大学は17日、2035年時点の日本の労働力不足が23年の2倍の384万人に達するという推計をまとめた。高齢者や女性、外国人の労働参加がさらに進むことで就業者数は6%増えるものの、短時間労働の割合が高まるためだ。シニアなど就業を希望する人ができるだけ働けるようにし、労働生産性を高める投資が欠かせない。

将来推計人口や完全失業率、実質国内総生産(GDP)などのデータを基にまとめた。労働力には外国人を含む。産業別でみると、最も不足するのがサービス業で就業者にすると115万人。卸売・小売業(77万人)、医療・福祉(49万人)などと続いた。

高齢者や女性、外国人の労働参加が進むことで就業者数は35年には6%増の7122万人となる見通し。64歳までの生産年齢人口ベースの就業者は減るが、定年延長などで35年には65歳以上の高齢者が1438万人と57%増える。働く女性も増え、20代後半から30代で労働力率が落ち込む「M字カーブ」は解消される。外国人就業者は377万人と84%増になる見込みだ。

ただ、就業者1人あたりの年間労働時間は35年に1687時間で9%減る。働き方改革が進むほか、短時間働く人の構成比が高まることが背景にある。

労働力不足は現状でも深刻だ。帝国データバンクによると24年4〜9月期の「人手不足倒産」は163件と上半期で過去最多を更新した。中大の阿部正浩教授は「労働力不足は企業経営に影響し、倒産も増えるほか、日本経済の潜在成長率が落ちる」と指摘する。

パーソル総研の中俣良太研究員は「シニア就業者や副業希望の就業者など多様な『ショートワーカー』の活躍機会の創出と、人的資本投資や新たなテクノロジーを活用した生産性向上の取り組みが必要」と話す。

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