朝来市内で捕獲したメダカについて、東京大大学院の尾田正二准教授(右スクリーン)から教わる和田山高校の生徒ら=兵庫県朝来市で2024年10月4日午前10時47分、幸長由子撮影

 兵庫県朝来市の県立和田山高校の協力を得て市内に生息するメダカのDNA情報を調べていた東京大大学院の尾田正二准教授は、メダカが約40万年前に瀬戸内海側から移動してきた可能性があるとする調査結果を明らかにした。「円山川、由良川、加古川水系がつながっていた頃から市内にすみ続けてきたのではないか」と推測している。

 国内には、兵庫県以北の日本海側に分布するキタノメダカと太平洋側などに住むミナミメダカの2種類がいるとされる。朝来市から日本海側へ流れる円山川の下流域にはキタノメダカが生息。尾田准教授と北里大の勝村啓史准教授による研究チームは2019年、これらのDNA解析などから、キタノメダカの起源が但馬・丹後地域である可能性があることを突き止めた。

 研究チームは、円山川の上流にもキタノメダカが生息していると予想。和田山高生に調査の協力を求め、23年に当時の3年生9人が目撃情報の提供を求めるチラシを作成。40件以上の情報が寄せられ、15カ所で捕獲した。

 4日に報告会があり、調査を引き継いだ現在3年の生徒4人が参加。尾田准教授は捕獲されたメダカが全てミナミメダカだったことを明らかにし、丹波市を通る低地帯「氷上回廊」にある由良川水系は日本海側の河川だが瀬戸内型のミナミメダカが生息していることを紹介した。

 また、30万~38万年ほど前の噴火で夜久野高原が形成される前には、円山川水系も由良川、加古川とつながっており、今回見つかったミナミメダカはその頃までに瀬戸内海側から市内にたどり着いてすみ続けてきたと考えられると説明した。

 今後生徒らは、報告に基づいて資料を作り、調査結果を市民らに発表する。3年の細見袴乃香(このか)さん(18)は「小さいメダカが40万年も前から今も子孫を残し続けていることがすごい」と話していた。【幸長由子】

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