スマートフォンなどデジタル社会で心配な子どもの視力。
視力が1.0を下回る子どもが、過去最も多くなっています。
視力低下の背景と、子どもの視力を守る対策を取材しました。
札幌市内の眼科クリニックの現状
札幌市内にある眼科クリニック。
患者は小学生から高校生の子どもが目立ちます。
Q いつごろから視力が落ちた?
「小学校2年生から0.2、0.3くらいになった。結構心配しています」(小3の母親)
「中学1年の時、視力0.1とか。なんか黒板がちょうど見えないぐらいになった。眼鏡かけづらいからコンタクトにしている」(高校3年生)
裸眼では授業の際に支障が出るという声。
文部科学省の調査結果から見える現実
この日、クリニックには、視力低下に対する不安を抱えた親子の姿が。
こちらは、文部科学省が調査した裸眼視力が1.0未満の子どもの割合です。
2022年度は、小学生で約38%、中学生で61%、高校生で72%と、いずれも過去最多を更新し、特に小学生はこの40年間で2倍以上に増えています。
視力低下の原因はデジタル機器の使用?
学習機会にも影響を及ぼしかねないこの事態に、地域でも心配の声が多く聞かれました。
「(子どもの視力)0.5くらい」(小3の母親)
Q いまは裸眼?
「はい。眼鏡かけなきゃだめかな…?」(小3の母親)
Q 何で悪くなるのか
「YouTubeとかゲームですかね?」(小3の母親)
「いや、勉強も、あと読書も、ノート見すぎたりしたら逆に(視力悪く)なっちゃうみたいな」(小学5年生)
「視力1.0くらいですかね。 タブレットでYouTube見ることが多い」(小1の母親)
Q どういう動画見るの?
「SnowMan!」(小学1年生)
「普段から(学校などで)タブレット見る機会が多いので、視力が下がったら困る」(小1の母親)
視力低下で悩む親子…。
大事な目を守るためのどんな対策が必要なのでしょうか。
子どもの視力低下の要因とは?
子どもの視力低下は、低年齢化が進んでいます。
近視の多くは小学3年~4年生に発症し、早い場合は6歳未満でも近視になることがあります。
なぜ、子どもの視力低下が増えているのでしょうか?
「スマートフォンやタブレットの使用ですね。学校でも授業中にタブレット端末を取り入れていますので、勉強の機会でも”近くでものを見る”という作業時間が増えていることが、近視が進行している原因として考えられます」(山鼻うの眼科 宇野仁揮院長)
今は、子どもでも身近なアイテムとなっているスマートフォンやタブレット端末。
NTTドコモモバイル社会研究所によりますと、スマートフォンを所有している子どもは小学3年生で3割、6年生で6割、中学生は8割ほどで、年々増えています。
視力低下を抑制するには?
「近くでものを見ていると、ピント合わせの力が非常に働いていますので、それが目の負担になる。そういった環境を作ってしまっているということが(近視の)1つの原因になります。あと遺伝的な要素も十分考えられます。両親が近視が強い場合、お子様も近視になるリスクは高くなります」(宇野院長)
視力の低下を抑えるにはどうしたらいいのでしょうか。
キーワードは「外遊び」です。
「屋外での活動が非常に大事。1日の間でも2時間以上、屋外活動することによって近視が抑制されるという研究結果もあります。太陽の光が良いと言われていて、バイオレットライトと呼ばれる成分が近視の抑制に効果があるのではと言われています」(宇野院長)
また、スマホの利用や読書をする際は「距離」が重要だといいます。
「(スマホや本に)近づきすぎないことを心掛ける。約30センチ以上離すことが大事です」(宇野院長)
生活習慣の見直しは、子どもの視力を守る大きな一歩につながりそうです。
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