2023年度に全国の国公私立小中学校で「不登校」と判断された児童生徒は前年度から15・9%(4万7434人)増の34万6482人となり、過去最多を更新した。文部科学省が31日に公表した「問題行動・不登校調査」の結果で判明した。不登校児について教員が把握した相談などの内容は「やる気が出ない」が最多だった。専門家らの十分な支援を受けていないケースも多く、文科省は居場所の確保などを進める。
不登校は病気や経済的理由ではない要因で年間30日以上登校しない状況を指す。増加は11年連続。要因について文科省の担当者は「不登校が休養や自分を見つめ直す機会になるとの認識が保護者間で広がった」と分析している。
23年度の不登校は小学生で13万370人(前年度比2万5258人増)、中学生が21万6112人(同2万2176人増)。小中とも高学年ほど多いが、増加率は小学校低学年ほど高い傾向がある。文科省は幼稚園や保育園と小学校の接続に課題があるとみている。
前回調査までは教員が主観的に不登校の要因を回答していたが、「実態を正確に把握できていない」として今回は客観性を重視して教員が把握した事実を選択肢から複数選ぶ形式とした。結果は「学校生活に対してやる気が出ないなどの相談」が32・2%で最多、「不安・抑うつの相談」が23・1%と続いた。前回は「無気力・不安」を要因とする回答が最も多く、形式を変更しても前回と同様の傾向となった。
不登校のうち、学内外でカウンセラーや民間団体などによる専門的な指導や相談を受けていない小中学生は13万4368人(同2万151人増)だった。文科省は「担任らとは連絡がとれており、放置されているわけではない」とするが、およそ2・5人に1人が専門家による十分な支援を受けていない計算になる。
一方、いじめの認知件数は73万2568件(同5万620件増)、生命や心身などに重大な被害が生じた疑いがあったり、長期欠席を余儀なくされたりするいじめの「重大事態」は1306件(同387件増)で、いずれも過去最多を更新した。文科省は「いじめに対する積極的な認知が進んだ」ことが要因とみている。【斎藤文太郎】
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