料理評論家の服部幸應さんが4日、急性心不全で帰らぬ人となった。亡くなった当日は午前中にラジオの収録を行い、共演者やスタッフと昼食に行ったという。体調が悪そうには見えなかったというが、急性心不全はどのような前兆があるのか。かわぐち心臓呼吸器病院の佐藤直樹副院長に聞いた。

1週間程前から「息切れ・むくみ・だるさ」

ーー心不全とはどういった状態?
心臓は5つの構成成分からできています。心臓を養っている血管、収縮する筋肉、規則正しく動くための信号を伝えるシステム、開いたり閉じたりする心臓弁、心臓を取り巻いている幕の5つです。この中のどれかがおかしくなると、心臓の機能に障害を与え、「息切れ」「むくみ」「だるさ」という3つの代表的な症状が出ます。これが急に起こることを「急性心不全」と言います。

かわぐち心臓呼吸器病院 佐藤直樹副院長
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ーーどういう人が発症しやすい?
基本的には高血圧や糖尿病など生活習慣病を患っている人は心不全の始まりと考えていいです。一般の方のイメージとしては、心不全だと動けないとか、命に直結してしまうと考えがちですが、実は徐々に進行していて、我々はこれを「隠れ心不全」と言っています。それが進行して息切れやむくみ、だるさの症状が出た時に「心不全」と診断されます。

生活習慣病や基礎疾患は特に注意

気温の変化は血管や血圧に影響を与えるため、特に生活習慣病や基礎疾患を持っている人は急な寒暖差には注意が必要だと佐藤医師は話す。

急性心不全で亡くなった料理評論家の服部幸應さん

ーー高齢者は特に注意が必要?
年齢によって原因は異なりますが、いかなる年齢でも起こる可能性はあります。高血圧や糖尿病、腎臓の病気など生活習慣病のリスクが高いので高齢の人の方が多いですが、若い人でも起こります。若い人の場合は心臓の筋肉の病気や遺伝的に問題があって、30代、40代で苦しくなるケースがあります。

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ーー急な気温の変化なども影響する?
暑い日に水分が十分に摂れなくて脱水傾向になると腎臓にダメージを与えます。腎臓と心臓はとても関連性があり、腎臓が悪くなると心臓にも負担がかかるため、急に息切れが出たり、むくみが出たりします。

また、寒くなれば血圧が高くなり、心臓により負担がかかりやすくなります。気温の変化は血管や血圧に影響を与え、特に生活習慣病や基礎疾患を持っている人は注意が必要です。

不調を感じたら放置せず医療機関へ

心不全の兆候を見逃さないためには、息切れやむくみなどの症状を放置せず、医療機関で早期に検査を受けることが大切だと佐藤医師は話す。

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ーーリスクとなる生活習慣病は食事に気を遣っていてもなる?
生活習慣病の予防は、食事だけではなく適度な運動も大事です。急に体重が増えたり、同じような健康食品を食べていても、体質的にコレステロールが上がりやすい人や、遺伝的に糖尿病の家系などもあるので、食事だけですべてをコントロールできるわけではありません。

ーー心不全を見逃さないためには?
急性心不全を患った人の多くは、実は1週間~10日前から息切れやむくみなどがあり、心不全が始まっています。近所のスーパーに行くのに今までは苦しくなかったのにちょっと休みたくなる、などといった体調の変化があった時は心臓を疑ってください。心不全で入院される人は皆さん「心臓とは思わなかった」と言います。

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息切れやむくみの症状がある時は「心臓かな?」と疑って、医療機関で心臓の機能を調べる簡単な検査を受けてもらえれば、良い薬もいろいろとあるので早くに回復できます。

とにかく大切なことは早くに気付くことと、生活習慣病がある人は血圧が高くても苦しくないからと放置するのではなく、ちゃんと治療して将来的に心不全になることを防ぐことが大切です。

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