青い光に照らされた松本城。10月29日の世界脳卒中デーに合わせたライトアップです。「脳卒中」を含む脳血管疾患は日本人の死因の第4位。長野県内でも2023年、2000人余りが亡くなっています。9月、脳卒中の一つ「脳内出血」を発症し療養している佐久市の柳田清二市長がNBSの取材に応じ、自身の体験を語りました。


■ビリビリ、電気が走る感じ

力が入りにくくなった左腕を、右手でつかみながら積み木をするのは佐久市の柳田清二市長(54)です。

9月、脳内出血を発症。左半身に麻痺が残り現在も入院して一日3時間、手の運動や歩行訓練などのリハビリに励んでいます。

リハビリする・柳田市長:
「どうでしょう?」

担当者:
「いいですね。重ねられましたね」

10月29日、市の職員とリモートで打ち合わせをした後、NBSの取材に応じました。

佐久市・柳田清二市長:
「私が発症したのは9月14日でありました。予兆というのはあまり感じなかったんです」

9月14日の朝、JR佐久平駅の駅長室でイベントの打ち合わせをしていた柳田市長。まもなく体に異変を感じました。

佐久市・柳田清二市長:
「ひじの内側辺りを机の角にぶつけるとビリっとくるじゃないですか、電気が走るみたいな。ああいうビリビリ感ですね、あれの弱いものが左半身に出ました。左側だけだったものですから『あ、これが聞いていた脳のトラブルなんだろうな』と」

■左半身の麻痺が残る

脳の病気を疑い、公用車ですぐに病院へ。

佐久市・柳田清二市長:
「発症してから、私は30分以内くらいに血圧を下げる点滴で、薬を体に入れることができたので、この早さということも、医者に伺うと大事なことという指摘をもらった」

出血していたのは脳の「視床」という部位でした。左半身に麻痺が残りましたが、言語機能に障害はなく、入院しながら最低限の公務を続けることにしました。


■脳卒中 主な症状、後遺症

日本脳卒中協会 県支部長・堀内哲吉医師(信州大学):
「脳卒中というのは別名・脳血管障害とも言いまして、頭の血管が詰まったり切れたりする病気です」

脳卒中は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が切れる「脳出血」、そして「くも膜下出血」の3つを含む病気の総称です。最悪の場合は死に至りさまざまな後遺症も出ます。

日本脳卒中協会 県支部長・堀内哲吉医師(信州大学):
「有名な症状としては言語障害、あと片麻痺と言いまして、右の手足が効きにくくなったり、左手足が効きにくくなるという半身不随というようなふうにも言われている症状が有名な症状です。命は助かっても後遺症が残ってしまって、自分のことができなくなる患者さんが多いので怖い病気だと思います」

■大きな要因は「高血圧」

実は長野県内は脳卒中で亡くなる人がやや多い傾向にあります。

県内は脳卒中が心疾患に次いで4番目に多い死因で、占める割合は全国平均6.6%に対し県内は7.7%です。


長寿県で高齢者が多いことが一因ですが、「高血圧」が大きな要因と考えられています。

日本脳卒中協会 県支部長・堀内哲吉医師(信州大学):
「塩分の摂取が高血圧を引き起こして、脳卒中の危険因子で一番は、高血圧。塩分を控えめにするということはすごく大事なこと」

漬物などを好んで食べ、塩分摂取量が多い信州。減塩運動の成果もあり、脳卒中の死亡率の全国との差は年々縮小しているそうです。


■食生活の見直しや適度な運動を

ただ、注意すべき点は血圧だけではありません。糖尿病や脂質異常症を患っている人、悪玉コレステロールや中性脂肪が高い人は「動脈硬化」になりやすく注意が必要。

堀内医師は食生活の見直しや適度な運動を呼びかけています。

日本脳卒中協会 県支部長・堀内哲吉医師(信州大学):
「生活習慣病が元になって、動脈硬化が頭の血管に起きて、『詰まるも切れるも紙一重』とよく患者さんには言っているんですが、同じ血管が詰まれば『脳梗塞』、切れれば『脳出血』ということになるので、野菜を多く取ったりするというようなこともすごくいいと言われている。あと体重を落とすとか、やはり血圧が高い方は主治医を持ってもらい、なかなか努力では下がらないことも多いと思うので、薬物治療も考えていった方がいいのかなというふうには思う」

では、万が一、なってしまったらー。

脳卒中は前触れがなく突如、起こるため、まず、ろれつが回らないなどの言語障害や、急に箸や茶碗を持てなくなるなどの麻痺の症状が出たら、いち早く病院に行くことが重要です。

日本脳卒中協会 県支部長・堀内哲吉医師(信州大学):
「夜だから様子を見ようとか、朝起きたら手遅れってなっていることが多い。言語障害と手足に力が入らないという症状が出たら、すぐ専門の病院を受診してほしい。もしくは救急車を呼ぶというのも一つの方法だと思う。今、多い脳梗塞は、一刻も早く治療を開始することによって、100%回復できるということではないが、少なくとも早く来てくれると元気になるチャンスが増えると思う」


■市長「十分な休養が必要だった」

10月29日

柳田市長:
「最初、グー、パー、グー、パーしかできなかったんですが、それがスムーズに動けるようになったのがリハビリの成果じゃないかと思っています」

柳田市長は早めに病院に行ったことやリハビリの効果もあって麻痺の症状は徐々によくなり現在、週2回、リモートで公務にもあたっています。


日ごろから健康に気を使い、毎朝4時過ぎに起きて、ウオーキングをしていたという柳田市長。

血圧も高いほうではなかったということですが、考えられる原因を聞くと。

柳田市長:
「今振り返ってみると、十分な休息が必要だったのではという気がする。夜12時くらいまで起きてたと思うんですよ、毎日。4時間ちょっとの休息、睡眠は少し短かったのではと反省しております」

柳田市長は、年内はリハビリに専念し、年明けから庁舎での公務に復帰する予定です。

佐久市・柳田清二市長(54):
「明るい気持ちでやっています。『無病息災』という言葉がありますが、ある意味で『一病息災』という形で、一つのこの経験を生かして今後、健康管理に努めていきたいと思っています、どうか県民の皆さんにおかれましても、健康にもご留意いただきながら、またその生活習慣と上手に付き合って、明るく前向きな生活を送ってほしい」

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