11月10日、秋田市の町内会で防災教室が開かれた。秋田県内で毎年のように起きる自然災害から自分の生活をどう守るのか。過去の災害から得た教訓を次の世代につなぎ、実践していくことが重要だ。
「『今年の雨は大丈夫だった。去年の雨も大丈夫だった』ではなく、秋田県で起きた災害、秋田市で起きた災害。川に近い地域に住んでいるということは、いつ・どこで・何が起きるか分からない水害に対して、ぜひとも地域の町内の中で次世代につないでいってほしい」と話すのは、秋田市の日本赤十字秋田短期大学の講師・及川真一さんだ。
10日に秋田市で開かれた防災教室で講師を務めた及川さんは、参加した高野一区町内会の28人に、家庭や地域ですぐに始められる防災を伝えた。
この町内のすぐ近くには草生津川が流れていて、2023年夏の大雨の際、自宅や車が浸水した人がいた。これを受けて町内会は、水害が起きた際の対応を学び、地域の防災力を高めるために初めて教室を開催した。
及川さんは、秋田市の大雨被害を振り返りながら「最近は、災害は忘れる前にやってくる」と伝える。
近年、県内では毎年立て続けに大雨による被害が出ている。2023年に秋田市の中心市街地が水に覆われたように、自然災害は決してひとごとではない。
及川さんは、災害が発生したとき、「私は大丈夫」「この地域は大丈夫」と思わないでほしいと呼びかける。
東日本大震災のときに自宅が全壊した及川さんは、「地滑りで家を全壊したが、私は保険に入っていなかった。なぜ入らなかったか。誰かから魔法の言葉を聞いたから、『ここの地域は大丈夫』と。その言葉を僕は信じてしまった」と自らの体験を語った。
実際、震度5の地震があったとしても、及川さんの家の場所だけは震度3など、ほかの地域より揺れが小さく「やっぱりここの町内は大丈夫だな」と思っていたという。
しかし、自宅は全壊した。その経験から及川さんは「自然災害は私たちの想像を超えてくる。保険に入っておくというのも備えの一つ」と強調した。
参加者は「とてもためになった。自分がいままで考えていなかったことでも『ああ』と思って、早速いろんなものを準備したいと思っている」と話した。
高野一区町内会・岩谷里美会長:
「1番は意識。去年も、いままでの経験上から『災害による被害は出ないだろう』と、皆さん避難行動をしなかったので、そういう意識を高めていくことではないかと思っている」
一人一人の意識や備えによって地域の防災力が高まると、いざというとき、自分はもちろん、周りの人の命や生活・財産を守ることにつながる。
教室では、及川さんから参加者に「火災が起きたらどうするか?」という質問が投げかけられた。「すぐに逃げる」という人がほとんどだと思うが、水害も同様に危険な災害だ。火災時の対応はもちろんだが、及川さんは「水害が起きたときの対応も確認してほしい」と呼びかけている。
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