(写真はイメージです) takayuki-shutterstock

<時間をかけて勉強しても知識が定着しないのは、「わかったつもり」になるオンライン学習の弊害かもしれない>

年明けから本番が始まる受験シーズンに向けて、最後の追い込みをかけるこの時期。思うように点数が上がらず焦る受験生も多いのではないだろうか。

しかし、睡眠時間を削り長時間の勉強をしても、なかなか成果につながらないのなら、そもそもの勉強の仕方から見直してみるべきだ。焦る気持ちはわかるが、問いの「要点と構造」を理解しないまま知識だけを詰め込んでも、勉強した気になるだけで、実際の試験では成果を発揮しにくい。

今回は読解力と理解力を上げ、効率よく弱点を克服する「オレオ学習法」について紹介してく。記事の後半にある例題は、気の抜けるほど簡単なものだが、重要なのは試験問題の「要点と構造」を見抜く力である。それはレベルの高い難しい問題になっても、大人になり社会に出てからも、論理的な思考において重要なポイントとなるため、それぞれのレベルに合わせて、ぜひ応用してみてほしい。

韓国でロングセラーとなり、日本でも発売わずか2ヶ月で4刷の重版を重ねている『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)から、ライティング・コーチのソン・スッキ氏の解説を抜粋して紹介する。

※本書からの抜粋第1回:【中学・高校受験】「4行でまとめろ」ハーバードで150年伝わる作文力を一気に底上げするスキル

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勉強ができる人とできない人の決定的な違い

「メタ認知学習法」という言葉を聞いたことがありますか?

自分のことを客観的に見る力を「メタ認知」と言います。「メタ認知学習法」は、みなさんが勉強するときに、自分がどれだけ勉強ができているかを客観的に把握することで、学習力をもっと高めていこうという学習法です。

自分で考えて疑問点や答えを探していく自主的な勉強も、このメタ認知があってこそできるものです。成績がずば抜けて優秀な子どもたちは、このメタ認知能力が優れているのです。

勉強していると、「難しすぎて、何がわからないのかもわからない」となってしまう人も多いと思いますが、メタ認知に優れた人は、自分が何をわかっていて、何がわかっていないのかをしっかりと把握できています。だから、限られた時間内でも、わからないことを重点的に勉強してカバーすることができるので成績優秀なのです。

しかし、「難しすぎて、何がわからないのかもわからない」というメタ認知能力の低いタイプの人たちも、塾に通ったり、予習をしたり、単語帳を作ったりと一生懸命やっています。ですが、自分の弱点がわかっていないから、せっかく勉強をしても必要のないことにまで時間をかけてしまってとても効率が悪いのです。

最近ではオンラインで学習する機会が飛躍的に増えました。タブレット、スマートフォン、コンピュータで学ぶことが日常的になっています。ただ、オンライン学習には落とし穴があります。

それは、「なんとなくわかった気になる」という錯覚現象です。せっかく勉強するのですから、これだけは避けなければなりません。特に、メタ認知能力の低い人や、自主的に勉強するのが苦手な人は、オンライン学習の際には気をつけてください。

こうした落とし穴を避けるため、オンライン学習でも、必ず手書きでノートを取り、自分で考えて書いてまとめるようにしましょう。自分が何がわかっていて、何がわからないのかを確認するのにも、「ライティング」が最適です。

テーマについて書くことほど、メタ認知能力を向上させる近道はありません。次の項目でオレオ公式を使った学習法をご紹介します。

国語も算数も!オレオ公式を応用した万能な「オレオ学習法」

第2章で、「オレオ公式」でごくごく短いエッセイを書いてみる練習をしましたね。せっかくなので、オレオ公式を使って勉強する「オレオ学習法」にも挑戦してみましょうか。(「オレオ公式」についてはこちらを参照:【中学・高校受験】「4行でまとめろ」ハーバードで150年伝わる作文力を一気に底上げするスキル)

「オレオ学習法」とは、考えをロジカルな文章に書いてまとめる「オレオ公式」のライティング方法を勉強に応用したものです。勉強したことをオレオ公式で整理すると、頭の中で情報が整理されるため、より深く理解できます。つまり、メタ認知学習法の項目でお話ししたように、理解していることと理解できていないことが明確になり、勉強の効率が上がるというわけです。

書いて学ぶ「オレオ学習法」のやり方は、次のとおり。

ステップ1:学んだことをオレオ公式に沿って、4行で書く。
ステップ2:書くときはそれぞれ1行、1段落で書くこと。
ステップ3:書き終えた4段落を合体させ、ひとかたまりの文章にする。

学んだことをしっかり理解して応用できるようにするためには、自分の手で書いて学ぶのが一番です。ハーバード大学の各学科でも書くプログラムが導入されているのも、そのためです。私たちも、学んだことを書いて、自分の言葉で表現することで身につけていきましょう。

算数の記述問題

近ごろ、中学受験などでも、算数の問題で、答えだけでなく、どうやって答えを導き出したのかを書かせる記述問題が増えてきているようです。せっかく答えが正解しているのに、この記述がうまく書けなければ高得点はねらえませんね。

そんな時も、「オレオ学習法」の出番です。算数の記述問題を教える塾のベテラン講師も、「記述問題は計算過程を記すのではなく、どうやって考えたのか、その思考過程を文章で説明するものである」と述べています。

算数が得意なのに記述問題は苦手という生徒は、問題は解けても、その途中過程を文章化するのが苦手なのです。オレオ公式でトレーニング中のみなさんなら、算数で記述問題が出た場合でも、どうやって文章を書いたらいいのか、もう想像できているかもしれませんね。



〈算数の記述問題の解き方〉

O:答えを書く。
R:どうしてその答えにたどり着いたのか、どのように考えて計算式を立てたか、あるいは用いた公式について述べる。
E:計算過程を説明する。
O:自分の答えが正しい答えであると強調する。

応用してこそ、力になります。さっそく次の問題を、オレオ公式で答えてみましょう。

〈問題〉
タケシくんは、銀行に預けている5258円を引き出そうと考えています。その時、1000円札は全部で何枚になるでしょうか。答えと、その計算過程を書きなさい。

〈答えの書き方〉
O:答えを書く。
⇒1000円札の枚数は、5枚となる。

R:なぜその答えにたどりついたのか、どのように考えて計算式を立てたか、あるいは用いた公式について述べる。
⇒5258円をお札の金額の1000円で割れば、出た整数が枚数となるため。

E:計算過程を説明する。
⇒これを計算すると、5258÷1000=5.258枚と、つまり、1000円札5枚と、残りの258円分の現金になる。

O:自分の答えが正しい答えであると強調する。
⇒したがって、5258円を引き出すとき、1000円札の枚数は5枚となる。

いかがでしたか。オレオ学習法は、国語以外の勉強にも役に立つのです。


『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』
 ソン・スッキ[著] 岡崎暢子[訳]
 CCCメディアハウス[刊]

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ソン・スッキ

1965年生まれ。大韓民国を代表するライティング・コーチ。ソン・スッキ作文センター、アイデアウイルス代表。稼げるライティングソリューションを提供し、企業と個人のマーケティングコンサルティングを担う。慶熙大学にて国語国文を専攻し、卒業後は、放送局、広告代理店、新聞社、雑誌社、女性向けポータルサイト、出版社などで経験を積む。執筆活動歴35年、ライティング指導歴20年。『150年ハーバード式ライティングの秘密』は韓国で10万部のロングセラー。

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