日曜日には、県内各地でも真夏日に迫る気温を観測するなど日に日に“暑さ”を感じる季節となってきました。こうしたなか、4月24日、新たに「熱中症特別警戒アラート」の運用が始まりました。

夏の猛暑が年々厳しくなるのと比例して熱中症になる人も増えています。熱中症による死者はこの5年でみると全国で平均1千人となっていて、熱中症は、命の問題です。

全国的に記録的な猛暑となった2023年。宮城県内も、仙台で真夏日66日、猛暑日7日、連続真夏日22日といずれも過去最多、6月から8月の仙台の平均気温が平年より3.5度も高くなるなど記録づくめの猛暑でした。
熱中症になる人も増え、2023年5月から9月に県内で熱中症で病院に運ばれた人は2000人を超えました。
熱中症で亡くなる人は、2022年までの5年間で、平均すると県内では19人、全国では、およそ1300人に上っています。

こうした中、国は、2030年までに熱中症による死者を今の半分にすることを目標に熱中症対策に乗り出しました。
気候変動適応法を改正し、熱中症対策を国を挙げた取り組みとして強化するもので「熱中症特別警戒アラート」はその一環です。「熱中症特別警戒アラート」は、過去に例のない暑さが予想される場合に、人の健康に重大な被害が生じる恐れがあるとこれまでよりさらに一段高い警戒を、強く呼びかけます。

(平野貴久気象予報士解説)
「熱中症特別警戒アラート」、今までより一段階上の、新たなアラートですね。
これまであった「熱中症警戒アラート」のさらに上、もっと危険な暑さの時に、「熱中症特別警戒アラート」が発表されます。
発表の基準になるのが「暑さ指数」という数値です。「暑さ指数」というのは、気温のほかに、湿度と輻射熱(照り返しなど)を考慮した、熱中症の危険度を示す数値です。
「熱中症警戒アラート」の場合は、県内の観測地点のいずれか1地点でも、暑さ指数が33以上になると予測された場合に発表されますが、「熱中症特別警戒アラート」は、すべての観測地点で暑さ指数が35以上ということなので、本当に過去に経験したことのない、とんでもない暑さがやってくる場合に、この情報が発表されることになります。

過去5年間で、特別警戒アラートの基準に最も近づいた、2020年8月29日の暑さ指数です。この日の仙台の最高気温は35.3度、気仙沼に至っては36.5度と、観測史上最高気温が出て、猛烈な暑さになりました。
県内では61人が熱中症の疑いで病院に搬送されています。この日、暑さ指数が35に達した地点はありましたが、全地点35にはまだまだ及びません。
実は、全国で見ても、過去この基準に達したことはないんですね。特別警戒アラートが出るということは、これをはるかに上回って、本当に過去に誰も経験したことのない、とんでもない暑さになるということです。
近々にこの情報が発表されるということは考えにくいのかなと思います。

特別警戒アラートでは、外出や屋外での活動の自粛などを呼びかけ、自治体に対しては、冷房が効いた公共施設などを「クーリングシェルター」としてあらかじめ指定し、一般に開放することを義務付けています。
2023年、県内では、独自の取組みとしてクーリングシェルターを設置する自治体がありました。
名取市は、公民館や郵便局など19カ所を「クーリングシェルター」として、岩沼市は、公民館や体育館など12カ所を「暑さをしのげる公共施設」として、それぞれ提供し、利用を呼びかけました。

一方で、今回の特別警戒アラートの対応として、クーリングシェルターの設置状況を仙台放送が県内35のすべての自治体に取材したところ、「すでに指定している」と回答したのは村田町の1か所に留まりました。
全国的にはすでに設置が始まっていますが、県内の自治体は、なるべく早いうちに、としつつも、現在は「準備段階」だとしています。

一方、「クーリングシェルター」という位置付けではなくても、このような暑さのしのぎ方をしているという方もいるのではないでしょうか。

仙台市若林区にあるスーパー「生鮮館むらぬし」です。こちらのスーパーでは、夏場になると冷房の効いた売り場を求めて店を訪れる人が増えるといいます。

生鮮館むらぬし 村主芳治代表取締役
「買い物終わったあと、レジの方とお話してのんびり、やっぱり外が暑いと外に出たくないんでしょうね、のんびりしていきますねみなさん。」

全国的には、街中にあるスーパーをクーリングシェルターに指定する動きが広がっています。このスーパーは、今のところクーリングシェルターに指定されているわけではありませんが、店側は、熱中症を引き起こす前に身近なスーパーをひと時のクールダウンにうまく活用してほしいと話します。

生鮮館むらぬし 村主芳治代表取締役
「本当に去年みたいなひどい暑さのときは、いつでも涼しくお店の中してますので、いつでも来てほしい。」

夏場のスーパーがキンキンに冷えているのはあくまで生鮮食品の品質を保つためだそうですが、暑さをしのぐための来店もこのお店としては歓迎です、ということですね。

(平野貴久気象予報士解説)
特別警戒アラートが出ていないから大丈夫とは、絶対に思わないでください。
先程もお話しましたが、熱中症警戒アラートの基準に達した段階で、猛烈な暑さ、命に関わるような暑さになりますから、これまで通り、警戒アラートの段階で、最大限の対策をとっていただきたいと思います。

そして、今年も暑さは厳しくなりそうなんです。最新の長期予報では、5月以降、夏にかけて、気温が高い傾向で、今年も猛暑になる可能性が十分にあります。
暑さも災害と言っていい時代ですから、警戒を強めていただきたいと思います。

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