インタビューに応じる吉村洋文大阪府知事=3月28日、府庁(山田耕一撮影)

いよいよ2025年大阪・関西万博の開幕まで残り1年となった。会場の建設では日本側が担当する施設は予定どおり進み、海外パビリオンも続々と着工している。幅約30メートル、1周約2キロになる大屋根(リング)は8割が組み立てられ、木造建築物の荘厳さと圧倒的な迫力が感じられる。

昨年11月に発売した入場チケットは、パビリオンの予約ができる今年秋からが本格的な販売の時期。高齢世代にも買いやすい仕組みを整える。1年後に支障なく開幕することができるよう、関係者と力を合わせている。

昨年来、大半に税金を充てる会場建設費や、チケット収入で賄う運営費で増額が続いた。万博を運営する日本国際博覧会協会に予算執行を管理する組織や「最高財務責任者」のポストを新設し、収支を厳格に見ていく。

政府が約2兆9千億円と試算した万博の経済波及効果は、会場のある大阪だけでなく関西、日本全体にも広げるべきだ。旅行会社と協力し、会場から各地に向かうツアーの準備も進めている。

万博の工事が、能登半島地震の復旧・復興に向けた資材や人手の確保に影響するのでは、との懸念や指摘もある。被災地の復旧・復興は日本の最優先課題であり、必要なことは全てやるべきだ。ただ双方の工事は内容などが異なり、重複部分は少ない。万博の工事は国内全体の工事の規模から見れば小さく、中止すれば復旧・復興が進むものでもない。

府としても、まずは府内の自治体とともに被災地支援を続けていく。その上で1年後の万博では地震でつらい思いをした子供たちや家族を万博に招待できればと考えており、具体的な方策を検討する。石川県内の特産品や伝統工芸品も会場内で展示し、世界各国から訪れる来場者に紹介することで支援につなげたい。

万博について色々な課題が報道されているが、それらを乗り越えていくことが重要だ。万博は単なる展示会ではない。異なる価値観を持つ多くの国が、社会課題を解決するため最新の技術を持ち寄り、未来社会の羅針盤とすることに大きな意義がある。こうした方向性を具体化し、積極的に発信していきたい。

閉幕後の跡地利用については今夏に民間企業からアイデアを募り、府市で方向性を決め、開幕までに公表する。会場で展示されるライフサイエンスや移動革命などの技術も社会実装のために投資し、万博のレガシー(遺産)としたい。(聞き手 山本考志)

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