能登半島地震の2次避難所となっている石川県内の旅館やホテルなどが、被災者の生活支援や居場所づくりに継続的に取り組んでいる。当初は3月の北陸新幹線延伸開業を見据え期限を設定していた宿泊先が多かったものの、仮設住宅の不足などで滞在が長期化し、2次避難者は139カ所で1677人(5月14日現在)に上る。関係者は「責任を持って支えていくことが大切」と話す。
4月中旬〜5月中旬、北陸新幹線の加賀温泉駅(同県加賀市)では、海産物の加工品など能登地方の産品を販売する「能登物産市」が開催された。市内の温泉地の旅館経営者らでつくる加賀温泉郷協議会が行う被災地支援の一環で、輪島市からの2次避難者も店頭に立ち、品薄になるほど盛況の日もあった。
加賀市内で避難生活を送る泉京子さんは、火災で焼失した「輪島朝市」にかつて出店していた。「地元の人や観光客が『復興を応援したい』と品物を買ってくれる。義援金を入れてくれる人もいる」と感謝する。輪島市で喫茶店を営んでいた大下多津子さんは、訪れる人と会話することで今後の生活の不安が軽くなるといい「接客は楽しい」と語った。
加賀市内の3つの温泉地は、2次避難者の受け入れを続けている。石川県は当初、被災4県を対象とした観光復興支援策「北陸応援割」の開始などを見据え、3月ごろまでの滞在を想定。復興の遅れから継続が必要とされ、受け入れ先が延長を決めた。石川県は期限について「それぞれの宿泊先の判断」としている。
同県小松市の粟津温泉で約40人を受け入れている旅館「のとや」の桂木実社長は「戻れるようになるまで寄り添う覚悟だ。支援と経済活性化は両立できる」と語る。応援割にも参加し、5月7日から始まった第2弾は予約開始日に予定数が埋まった。
粟津温泉には、地震直後に孤立した輪島市深見町から最大50世帯ほどが滞在。旅館周辺の住民も衣類を無償提供するなど交流を続け、滞在する山下茂さんは「お世話になった」と振り返る。輪島市に集まって住める仮設住宅が確保できたため、住民らは同市に戻りつつあり「深見に近い場所なのでよかった」と安堵した様子だった。〔共同〕
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