気象庁は10日、石川県能登半島で震度5強を観測した3日の地震で、緊急地震速報が実際の揺れより大きな予測を出したのは、近接した場所で1秒以内に2回の地震が起きたのが原因だと明らかにした。それぞれの震源から連続して伝わった地震波をシステムが同一の地震によるものだと誤認したため、予測された規模が実際より100倍程度大きくなった。
気象庁は、今回のように地震波が重なり誤った予測をするケースは多くは起こらず、一方で過小評価となり速報が出ない仕組みにもなっていないと説明。技術的な改善を図っていくとしている。
気象庁によると、地震波を分析した結果、3日は午前6時31分39.6秒と31分40.3秒の2回、地震があった。震源はいずれも能登半島の先端付近で、2キロの近さだった。地震の規模を示すマグニチュード(M)は1回目が不明、2回目が6.0だった。実際の揺れは2回目の地震がほぼ引き起こしたとみられる。
緊急地震速報はM7.4の地震で、東北から近畿の26都府県で震度4以上と予測したが、実際に震度4以上は石川県と新潟県の一部だった。
地震波には、速く伝わり小さな縦揺れを起こす初期微動(P波)と、ゆっくりと伝わり大きな横揺れをもたらす主要動(S波)がある。緊急地震速報は震源周辺の地震計に届いたP波から震源や規模を推定し、離れた場所にS波による大きな揺れが到達する前に知らせる仕組みだ。
今回は、1回目の地震のP波を解析中、2回目の地震のP波、間もなく1回目のS波が届いた。システムはこれらを同一の地震によるP波とみなし、過大な予測を出した。能登半島先端は海に囲まれており、先端部と震源西側にある陸地の地震計しか震源の推定に使えなかったことが影響し、震源を約20キロ離れた富山湾と誤った。〔共同〕
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