8月6日は79年を迎える「原爆の日」です。札幌市では、北海道被爆者協会主催の追悼会が開かれました。被爆者の高齢化が進み、協会は2025年3月での解散を決めています。悲惨さをどう語り継ぐのか、大きな課題です。

高齢化で60年余の活動に幕

 広島に原子爆弾が投下されてから8月6日で79年。札幌市では約130人が参加し、犠牲者を追悼する会が開かれました。主催したのは60年以上にわたって原爆の恐ろしさを訴え続けてきた北海道被爆者協会です。

 「その晩は広島の街が燃えさかる空を、大人と一緒に夜通し見ていた」(小学6年の時に被爆 松本郁子さん、2015年)

 「『水をくれ』という声を何度も聞いた」(小学1年の時に被爆 眞田保さん、2020年)

 北海道で被爆者健康手帳を持っている人は、2024年3月末の時点で185人。平均年齢は86歳を超えています。200人以上いた協会の会員も49人に減少し、2025年3月で解散することを決めました。

 「(解散の理由は)みんな高齢になったから。思うように活動できなくなった」(北海道被爆者協会 広田凱則 会長)

北海道へ避難した被爆者たち

 北海道被爆者協会によりますと、1950年代、広島や長崎から遠く離れているにもかかわらず、北海道には2000人ともいわれる大勢の被爆者がいたといいます。

 「広島、長崎の原爆にあったということで、言われなき差別にあうかもしれないと考え、遠く離れた北海道の地に新しい生活を求めてきた」(北海道被爆者協会 北明 邦雄 事務局次長)

 高熱で溶けて固まったラムネの瓶。くっついた湯のみ。

 協会が運営する札幌市白石区の「北海道ノーモア・ヒバクシャ会館」です。

 被爆者の遺品など100点を超える資料が展示され、広島、長崎に次ぐ全国3番目の原爆資料館として知られています。

 2025年4月からは、北星学園が引き継ぐことになりました。

 協会の解散に市民は…。

 「次の世代に受け継いでいけたらいい。なくなってしまうとできないので」

 「映像などは残るという意味では団体が解散しても気持ちは残っていく」(いずれも札幌市民)

若い世代の取り組みも…

 被爆者の経験を語り継ごうという若い世代の取り組みも始まっています。

 「路傍には遺体が数知れぬほどに放置され、注意しながら歩いても踏みつけそうになる」(札幌南高校定時制1年 田伏恋菜さん)

 「二度と同じ過ちを繰り返さぬために、私たちも語り継ぎます。語り継ぎます」(朗読劇より)

 7月、北海道被爆者協会が開催した「原爆展」。10回目を迎えた今回、初めて高校生が朗読劇を披露しました。札幌南高定時制1年の有志5人が、北海道の被爆者の証言をまとめたのです。

 「原爆だけでなく、戦争そのものがひどい」(札幌南高校定時制1年 阿部元春さん)

 「できるだけ多くの人に知ってほしいので、声がかかれば(朗読劇をしに)行きたい」(札幌南高校定時制1年 深沢璃音さん)

戦後79年「記憶」から「歴史」へ

 戦後79年。昭和から平成、令和と時代は移り、戦争は「記憶」から「歴史」へと変わりつつあります。

 「世の中の動きを見ていると、被爆者は79年前のようなことが起きるのではと心を痛めている。本当に再び、79年前のことを繰り返してはならないと思う」(北海道被爆者協会 北明邦雄 事務局次長)

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