長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典の会場となる平和公園を訪れる人たち(8日、長崎市)

長崎は9日、79回目の原爆の日を迎えた。爆心地に近い平和公園では同日午前、長崎市主催の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」(平和祈念式典)が開かれる。鈴木史朗市長は平和宣言で、核保有国と「核の傘」の下にある国に核廃絶に向けて大きく舵(かじ)を切るよう求める。

原爆が投下された午前11時2分には、参加者らが平和の鐘を合図に黙とうし犠牲者の冥福を祈る。

式典には岸田文雄首相のほか、各国の代表者らが参加する。市はウクライナ侵略を理由にロシアとベラルーシを3年連続で招かなかった。パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルについても抗議活動など「不測の事態」が起きるリスクがあることを理由に、式典を平穏かつ厳粛に実施するためとして招待しなかった。

イスラエルを巡っては、日本を除く主要7カ国(G7)各国と欧州連合(EU)が不招待への懸念を表明する書簡を市に送付し、いずれも大使が式典を欠席する事態となった。公使や総領事らが式典に出席する見通し。

鈴木市長は2日、式典で読む平和宣言の骨子を発表した。宣言では「ウクライナ侵攻や中東情勢」を踏まえ、「核兵器を使ってはならない」という人道上の規範が大きく揺らいでいるとして危機感を表明する。被爆の惨状を訴え、核保有国などへ核兵器廃絶への道を探るよう要請する。

式典では、この1年間に新たに判明した原爆死没者3200人の名簿も奉安される。死没者は計19万8785人になった。被爆者健康手帳を持つ人は3月末で10万6825人で、平均年齢は85.58歳となっている。

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