埼玉県教育局は22日、男女別学の県立高校の共学化を巡り「県教育委員会として、主体的に共学化を推進していく」との方針を盛り込んだ報告書を公表した。報告書では共学化の時期や対象となる具体的な学校名や判断は示しておらず、今後も中学生や有識者を交えた長期的な議論を続ける。
共学化を巡る議論の発端は、県の男女共同参画苦情処理委員が2023年8月に県教育委員会に出した「共学化を早期に実現すべきだ」とする勧告だ。教育局はその後、県民からの意見聴取やアンケートなどを実施。同県には男女別学の高校が12校あり、一部県民からの申し出を受けて教育局が1年にわたって協議を続けてきた。
別学校を巡っては、20年前にも同様の勧告が行われた。02年度の報告書では共学化について各学校の主体性を尊重していたが、今後は教育局が主体的に共学化を推進していくという。
ただ、教育局が7月に公表した記名アンケートでは、高校生の約6割が共学化に反対するなど、別学維持の回答が共学化を上回った。今回の報告書では強制的な共学化を明言しているわけではなく、今後の意見交換などで別学校を維持する可能性もある。日吉亨教育長は「高校教育に対する県民のニーズの多様化、人口減、男女共同参画など多様な視点で判断する」と話した。
都道府県立の別学高校は、埼玉県の他に群馬県や栃木県に多くある。宮城県では1995年に方針を示し、2010年に全ての県立高校を共学化した。
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