全国の公立小中高校のうち、文部科学省が設けたインターネットの通信速度の推奨値を満たしている学校が2割にとどまっていることが24日、同省の調査で分かった。デジタル教科書の導入も始まるなか、8割で十分な通信環境が整っておらず、文科省は各自治体に通信環境の分析や通信契約の見直しなどを求める。
調査は2023年11〜12月、全国約1800の教育委員会と全ての公立小中高約3万2000校を対象に実施。児童生徒に学習用端末を1人1台配布してデジタル化を推進する「GIGAスクール構想」を進める中で、動画をスムーズに見れないなど通信速度の遅さを指摘する声が上がっており、文科省が初めて実態把握に着手した。
通信速度の目安は、全ての授業で多数の児童生徒が同時に高頻度で端末を使っても通信に支障が生じない状態とした。
回答した約3万校のうち、推奨値を満たした学校は6503校(21.6%)にとどまった。児童生徒61〜120人規模の学校では43.1%だったが、456〜560人では5.8%で、大規模な学校ほど割合が少なかった。
また全自治体のうち約6割で不具合の原因を特定するための通信環境の評価をしていなかった。
中規模以上の学校の場合に十分な通信速度が確保されない可能性が高い「共用回線」を使っているケースが全体の約95%を占めた。同省担当者は「調査や契約の見直しなど、取り組めるところから対応してもらいたい」と強調する。
文科省は今後、通信状況の確認のための財政支援や、契約や調達の好事例を共有するなどして自治体の対応を後押しする方針だ。
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