石川・輪島市で行方が分からなくなっている中学生が親族などに送った写真です。

住宅を襲った濁流。入手した映像などから当時の状況が明らかになってきました。

建物を丸ごと押しつぶし樹木をなぎ倒した、おびただしい量の土砂。

これは、21日午前9時半頃、今も行方が分からなくなっている中学3年生・喜三翼音さん(14)が自宅から撮影し同級生に送った写真です。

翼音さんの同級生:
「土砂なくなるまで家から出られないってこと?」って送ったら「たぶんそうかも」って送られてきて、それがもう最後でした。(Q.それは何時?)午前9時56分でした。

翼音さんの自宅があった場所は、基礎部分を残して家は流されてしまいました。

その左側には流れを変えて本来、流れているはずがない塚田川がこの場所に流れています。

21日午前9時36分の石川・輪島市久手川町。塚田川が氾濫し、茶色く濁った川の水がごう音を上げて住宅街に流れ込んでいました。

すさまじい勢いで濁流に襲われていたのが、翼音さんが1人でいた自宅です。

氾濫から丸2日がたった23日正午前、現場下流側で見つかったのは、翼音さんの名前が入ったノートの切れ端と小学校時代の工作でした。

翼音さんの父・喜三鷹也さん:
これは小学生の時に作ったやつですかね。制服が小学生のやつ。(Q.どこで見つかった?)そこの下流ですね。下の方、そこなんで結構なんじゃないですか、500~600メートルは流れているかな。信じています、それだけです。

23日朝、再開された翼音さんの捜索活動に妻と共に同行した、父・鷹也さん。
草が伸び切っている場所の奥にも、捜索のため入っていきました。

輪島市中心部に近い久手川町。一家5人が暮らす自宅は、山林に挟まれた塚田川沿いにあり、当時、翼音さんが1人で過ごしていたといいます。

翼音さんの父・喜三鷹也さん:
息子は朝6時くらいにサッカーの試合に輪島駅まで送った。嫁さんともう1人の娘は運動会だった、その日。娘(翼音さん)1人だけずっと寝ていた状態で、学校も休みだったので。

仕事に出ていた鷹也さんは、川の増水を知り、翼音さんに電話をしたといいます。

翼音さんの父・喜三鷹也さん:
娘は寝ていたし、状況も全然気づいてなくて、外見たら海みたいになっているって、土石流で道路が見えない状態で、それで家が押されていて部屋の戸も開かない「逃げられない」って。二階の部屋にいるしかないということで、二階におってくれと。午前9時43分のLINE電話。

同じ頃、地域の住民が撮影した動画を見ると、氾濫した川の濁流が地鳴りのような音を立てて、翼音さんがいる家に押し寄せていました。

父・鷹也さんと電話で話し終えた直後、翼音さんは自宅2階から濁流が迫る周囲の様子を撮影。同級生にLINEで知らせたといいます。

翼音さんの同級生:
「家から出られない」って写真を見せてもらいました。「ヤバくない?」って本人が言ってました。午前9時47分でしたね。

それを最後に翼音さんとの連絡が途絶えました。

翼音さんの父・喜三鷹也さん:
午前10時頃には音信不通、つながらなかったので、その頃にはもしかして家が流されていたのかと。

行方が分からなくなって、23日で3日目。午後2時過ぎには、捜索隊が複数の靴を発見し、翼音さんの両親に確認を求める様子が見られましたが、関連については分かっていません。

捜索は24日も行われる予定です。

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