宇都宮白楊高校3年生のグループが、廃棄される酒かすを再利用したマドレーヌを開発した。「食品ロス削減と地域振興を両立し、小麦アレルギーの人でも食べられるお菓子を作りたい」という高校生の思いがこもった商品。17日に行った一般向けの試験販売での売れ行きは好調で、生徒らは10月26、27日に市内で開かれる全国の農業、商業、工業など専門高校の祭典「全国産業教育フェア栃木大会」での販売に向け、準備を進めている。
開発したのは同校食品科学科の8人。食に関する知識を学びながら地域課題の解決を目指す課題研究授業の一環で取り組んだ。同校高根沢農場では、農業経営科の生徒らが酒米「五百万石」を栽培し、市内の酒造会社に出荷して日本酒「白楊舞」に加工している。8人は、その際に多くの酒かすが廃棄されている現実を知り、「これを有効活用できないか」と研究テーマに選んだ。
当初、チーズケーキやクッキーを試作したが、酒かすの風味を生かせなかったり、ぱさついたりしてうまくいかない。そこでマドレーヌを思いついたが、やはり「うまく膨らまない」「ぱさつく」など問題が続出した。それでも、蜂蜜を多く混ぜて保水性を調整したり、砂糖をグラニュー糖に変えたりするなどの工夫を続けた。
指導した堀江比砂子教諭によると、難易度が高くなった理由の一つが、小麦粉ではなく米粉を使ったことだった。しかし、グループのリーダー、土方愛さんは「(皆に)米作り農家を応援したい気持ちや、アレルギーの人でも食べられるものを作りたい思いがあった」。そこで、パティシエのアドバイスも受けて試行錯誤し、米粉と酒かすの分量のちょうどいい比率や、ベストの焼き方も見つけ出した。
17日の試験販売は宇都宮市のオリオンスクエアで実施。米粉クレープを販売する同校OBのキッチンカーのそばに机を出し、約50袋を用意したところ、数分で完売した。
購入した同市の竹田リツ子さん(76)は「高校生が作ったと知り、ぜひ食べてみたいと思った。楽しみに持ち帰ります」と話していた。販売にあたったグループの佐々木優來(ゆら)さんは「廃棄されていたものが実際に形になってうれしかった」と笑顔を見せ、さらなる改良に向けて意気込んでいた。【小林祥晃】
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