化学部門が入る北海道大理学研究院=札幌市北区で鳥井真平撮影

 北海道大理学研究院の化学部門で、複数の准教授が「教授会によって組織的に孤立させられている」と訴えていることが発覚し、化学部門に所属する教員の間で教授会や組織のあり方に対する不満や懸念が広がっていることが、毎日新聞が入手した教員アンケートの結果で判明した。

 化学部門では、教授が定年退職や異動で不在となった研究室の准教授や助教らを「旧スタッフ」「旧研究室スタッフ」などと呼んで区別し、研究室の業務から外したり、学生を配属しなかったりしている。

准教授ら「パワハラ」訴え

 部門の教授会に当たる「講座委員会」が2020年度にこうした内部基準を作成。旧スタッフとされた複数の教員が連名で「不当に業務をさせず、教育・研究活動を阻害するパワハラに該当する」などと訴える陳情書を、大学のハラスメント相談室を通じて理学研究院に提出する事態になっている。

 毎日新聞が5月、この問題を報じたことを受け、化学部門は所属する教員約40人を対象に、無記名で意見を集めた。

 その結果、「対外的に見て追い出し行為であることは避けられない」「早急に解決すべきだ」などと懸念を示す意見が大半だった。「成果を挙げている先生に学生を付けないのはありえない」「学生配属がないこと自体がハラスメント」と教授会への批判も多かった。

 一方、訴えを提起した旧スタッフに対して「自分はどうなるかある程度覚悟してキャリアを積んでいるつもり。同情の念はあまりない」「いざこざに巻き込まないでほしい」「(問題を話し合う)会議よりも自分の研究がしたい」などと否定的な意見もみられた。

「講座制」廃止求める声も

 化学部門では、教授と准教授、助教が一体となって研究室を運営する「講座制」を採用しており、人事や予算の権限が教授に集中しがちと指摘されている。

 アンケートでは「教授が支配する講座制が諸悪の根源。この問題を契機に講座制をやめるべきだ」と見直しを求める意見のほか、「(旧スタッフには)トップクラスの研究者が含まれており、なぜ学生を付けないのか疑問に感じていた。講座制を死守しようとする保守的姿勢が発展を阻害している」といった指摘がみられた。【鳥井真平】

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