〇〇付近を先頭に--。ドライバーを憂鬱にさせるフレーズが示すのは「渋滞」だ。今年のゴールデンウイーク(GW)も高速道路などで混雑が見込まれているが、そもそも渋滞をどうやって予測しているのだろうか。また、渋滞する場所の特徴はどんなもので、回避することはできるのだろうか。「渋滞予報士」に聞いてみた。
渋滞予報士とは、関東以北の高速道路を管理するNEXCO東日本で渋滞予測を専門に行うプロフェッショナルだ。ほかのNEXCOにも「渋滞予測士」(NEXCO西日本)など、渋滞予測の担当者がいる。
NEXCO東日本では、北海道、東北、新潟、関東の各社に1人ずつ配置されており、10キロ以上の交通集中渋滞の予測を行う。昨年7月から関東支社の8代目渋滞予報士として活躍しているのが田中優太さん(31)だ。
田中さんによると、渋滞の予測は▽過去の同時期の渋滞データ▽社会情勢▽高速道路沿線で開催されるイベント情報――などを勘案して行う。
今年は昨年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから初めてのGWとなり、コロナ前と同等の人の流れが見込まれる。
連休に挟まれた平日3日間を休みとすれば最大10連休になるが、田中さんは、関東地方の渋滞のピークが5月3~6日の4連休に来ると予測した。
「昨今の働き方改革で休みやすくなっており、10連休にする人も多いでしょう。ただ、大人が休めても、子供は学校を休めません。過去のデータなども参考にした結果、連休後半に遠出する人が多いと予測しました」と理由を解説した。
関東以北全域では、5月3日に下り、5日に上りがそれぞれ渋滞のピークを迎えると予測されている。特に関東は、3日に東北道羽生パーキングエリア(埼玉県)付近で最大40キロ、5日に関越道高坂サービスエリア(同)付近で最大40キロに及ぶ渋滞を予測しており、注意が必要だ。
渋滞を回避するにはどうすればいいのだろうか。
「時間をずらすことが最も効果的」と指摘する田中さんは、3日の下り方面であれば、夕方から夜(午後5~11時)、5日上り方面では午前中(午前6~11時)に移動することを勧める。
行楽の“狙い目”は6日
田中さんが行楽にでかける“狙い目”として挙げたのが6日だ。過去のデータからも例年、連休最終日は渋滞が落ち着く傾向が見て取れるという。
GWは、常磐道と北関東道が接続する友部ジャンクション(茨城県)付近ではネモフィラ開花、千葉県木更津市と川崎市を結ぶ東京湾アクアラインは潮干狩り客による混雑に注意が必要という。こうしたイベントも、道路の混雑が見込まれる時間帯や渋滞のピーク日を避けるのがおすすめだ。
渋滞解消のためにできること
運転の方法でも工夫ができる。NEXCO東日本の2022年の調査では、渋滞の原因の73%は交通が集中することによって起こるもので、そのうちの59%が上り坂や「サグ部」が原因で起きた。
サグ部とは、下り坂から上り坂にさしかかる部分のこと。上り坂で無意識のうちに速度が落ちるため、後続車と車間距離が短くなり、後ろの車が次々とブレーキを踏むことになる。すると、渋滞が後ろに延びていくという。
渋滞することで有名な、東京と神奈川の都県境に位置する中央道上り線の小仏トンネル付近がサグ部の典型だ。
サグ部では、「渋滞ポイント サグ」や速度回復を促す標識が設置されている。標識を見たら、速度を上げることが渋滞の解消につながるという。
「予測情報を掲載しているアプリ『ドラぷらアプリ』などをもとに旅行を計画し、当日はサービスエリアでも渋滞情報をチェックして柔軟にルートを変えるのも重要です」
田中さんはGWを快適に過ごすためのノウハウを語った。【中嶋真希】
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