阿部俊子文部科学相は2日の就任記者会見で、国立大授業料の標準額のあり方について「丁寧に検討していく」と述べた。私立大の授業料や社会経済の情勢、家計負担の状況など総合的に勘案する必要があるとの認識を示した。

就任会見をする阿部俊子文部科学相(2日、東京都千代田区)

標準額は文科省の省令で定められており、最大で20%増額できる。標準額は2004年の国立大の法人化に伴って導入され、05年度に年53万5800円に上げられてから20年間据え置かれている。

阿部氏は高等教育の将来像を議論する中央教育審議会の特別部会や、国立大の財務構造などを検証する同省の有識者会議について触れ、「今後の対応を幅広く議論しており、その状況を踏まえたい」と話した。

日本の研究力低下については「非常に懸念しており、向上が急務だと認識している」と強調。「若手研究者や挑戦的な研究への支援などを実施している。関係省庁と取り組みを全力で進めていきたい」とした。

文科省は25年度予算案の概算要求で、公立学校教員の残業代の代わりに上乗せ支給する「教職調整額」の増額や教員の人員増などをはかるため、義務教育費国庫負担金として24年度予算比で180億円増となる1兆5807億円を計上した。

阿部氏は「必要な予算確保を含め、学校現場で子どもたちのために努力している教員の環境整備に全力で取り組む」と意気込んだ。

阿部氏は東京医科歯科大大学院助教授や日本看護協会副会長を経て国政に進出した。農林水産、外務の両副大臣を歴任し、23年12月から文科副大臣を務めていた。

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