天皇、皇后両陛下は5日、佐賀市のSAGAスタジアムで国民スポーツ大会(国スポ)の総合開会式に出席された。国スポは国民体育大会(国体)から名称変更して開かれる初めての本大会。天皇陛下は「新たな国民スポーツ大会の幕開けとして、長く心に残る、実りの多いものとなることを期待します」とおことばを述べた。両陛下とも佐賀にゆかりがあり、沿道に詰めかけた多くの県民に笑顔で応えていた。
おことばの冒頭では、能登半島地震や各地の豪雨、台風被害に言及。「被災された皆さんが、一日も早く安心して暮らすことができるようになるよう、復旧・復興が進むことを願っております」と被災者を見舞う気持ちを伝えた。
開会式は、各都道府県の選手団が整列して行進で入場していた国体の方式が一新された。各選手団は、くまモン(熊本県)やせんとくん(奈良県)などのゆるキャラと入場したり、バク転をしたり、ぬいぐるみを投げ上げたり、思い思いのパフォーマンスを披露。両陛下は入場する選手たちをにこやかに見守り、拍手を送っていた。
その後、宿泊先のホテルで選手や指導者らと懇談。競技を始めたきっかけや魅力を尋ね、開会式で選手宣誓をした堤ほの花選手らに「今後も試合が続くので、お体に気をつけてください」と伝えた。堤選手はパリ五輪の7人制ラグビー女子の日本代表。両陛下は五輪体験の感想も熱心に聞いていた。
両陛下は6日まで佐賀に滞在する。両陛下そろっての佐賀訪問は22年ぶり。5日夜に記者会見した山口祥義知事は「両陛下に楽しんで見ていただき、ありがたく思いました」と感想を述べた。皇后雅子さまが6月の英国訪問時、カミラ王妃に佐賀錦のハンドバッグを贈ったことに「(職人たちが)勇気づけられています」と謝意を伝えたという。
知事によると、両陛下を迎えるにあたって歴史を調べたところ、1949年に昭和天皇が戦後の地方巡幸で来県した際、日清製粉鳥栖工場を見学。案内したのは上皇后美智子さまの父で日清製粉創業家の故正田英三郎氏だったことが分かったという。知事は「不思議なご縁があると感じました」と話した。
両陛下は侍従を通じ、「各都道府県の選手たちの生き生きとした表現など趣向の凝らされた総合開会式を楽しみました。新しい大会にふさわしい総合開会式にしようと取り組まれた関係者のみなさんの熱意を感じました」との感想を発表。両陛下はともに母方の曽祖父母が佐賀県出身といい、侍従は「両陛下とも佐賀にゆかりを感じていらっしゃる」と紹介した。【山田奈緒】
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