防衛省=東京都新宿区で、小川昌宏撮影

 海上自衛隊の潜水艦について会計検査院が調べたところ、搭載している蓄電池の充電にかかった電気料金を3年間で計8132万円過払いしていたことが判明した。定期点検や大規模修理期間中の充電をメーカーに依頼する際、電力量をあらかじめ算出して契約を交わし、実際の使用量に基づかない金額を支払っていたのが原因という。

 検査院によると、海自が保有する潜水艦全25隻のうち、20隻が鉛蓄電池を、5隻がリチウム蓄電池を搭載(2023年度末現在)。蓄電池は潜航中の動力源となり、水上航行中に発電した電力をためている。鉛蓄電池については定期的に充電をしなければ劣化するため、海自は長期間に及ぶ点検や修理の際、作業を請け負う川崎重工業と三菱重工業に充電を依頼。他の作業費用と合わせて契約を結んでいた。

 充電を含む契約は20~22年度に22件あり、検査院の調べで電気料金の過払いが15件、その反対に不足が3件確認され、差し引き計8132万円の過払いが判明した。

 蓄電池は個体ごとに容量や自然放電量などに差があり、満充電に必要な電力量もそれぞれ異なる。海自はこうした個体差を考慮せず、過去の実績などを踏襲する形で充電に必要な電力量を算出。想定より少ない電力量で満充電ができた場合も、契約通りの電気料金を支払っていた。

 検査院の指摘に対し、海自は「(契約と実績に)乖離(かいり)が生じるとは想定していなかった。事前に正確な電力量を算出するのは難しい」と説明しているという。防衛装備庁の担当者は「企業から充電量を報告してもらう形の契約に見直した。再発防止をしっかり図っていく」とコメントした。【渡辺暢】

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