視聴者から寄せられた天気にまつわる素朴な疑問や、珍しい気象現象、知りたいことなどを村田気象予報士がわかりやすく解説する「天気のギモン」のコーナー。今回のテーマは「台風、ハリケーン、サイクロンの違いは?」です。
  
なぜ、この話題かというと…日本では衆院選ですが、アメリカでは間もなく大統領選で、ハリケーン被害への対応も焦点になっているからです。過去にはハリケーン対応が大きく大統領選に大きく影響しました。
 
10月10日、アメリカ・フロリダ州に上陸した大型ハリケーン。100年に一度ともいわれる強い勢力で、モンスター・ハリケーンとも呼ばれ、暴風や豪雨による大規模な洪水に見舞われました。また、巨大竜巻が発生したともみられ、建物の倒壊など甚大な被害が発生しました。
  
では、今回のテーマである台風、ハリケーン、サイクロンの違いを解説します。

そもそも、台風、ハリケーン、サイクロンはどれも熱帯地方で発生する熱帯低気圧です。ただ存在する「場所」によって違いがでてきます。

▼東経180℃から西の北太平洋や南シナ海に存在するのは「台風」
▼東経180℃から東の北太平洋やカリブ海、メキシコ湾に存在するのが「ハリケーン」
▼インド洋の北や南半球に存在するのが「サイクロン」

数年に一度、ハリケーンが東経180℃を超えて台風の領域に入り、台風になることもあります。これを「越境台風」といいます。この場合、アメリカの気象当局から気象庁に情報が引き継がれます。
  
台風やハリケーンの強さは最大風速によって決まりますが、日本とアメリカでは風速の基準が異なります。日本では、最大風速は10分間の平均であるのに対し、アメリカでは1分間の平均となっています。
 
つまり、同じのような勢力であっても、台風よりもハリケーンのほうが2割程度、風速は大きく表現されます。

実際に比較してみます。
<台風>最大風速17m/s以上、勢力は3段階
<ハリケーン>最大風速33m/s以上、カテゴリーは5段階

例えば「強い台風」は、最大風速33m/s以上ですが、ハリケーンでいうとテゴリー1、2相当です。看板やトタン板が外れる、樹木が倒れるなどの被害が想定されます。
 
「猛烈な台風」は、最大風速54m/s以上ですが、ハリケーンでいうと、カテゴリー4、5に相当する凄まじい威力です。建物の屋根が飛ばされる、倒壊する恐れがあります。
  
ちなみに10月にフロリダ州に上陸したハリケーンは、カテゴリー3です。台風の階級や風の強さは、少し分かりにくい印象がありますが、どのくらいの被害が想定されるのかを知っておかなければなりません。
 
近年、温暖化の影響もあって、最も勢力の強いレベルに達する台風、ハリケーンが多発し、これまで経験したことがないような災害が世界中で起きています。過去には1990年11月30日に日本に上陸した台風があり、台風シーズンはまだ続きます。

災害リスクを知っておくこと、災害を軽減する準備をしておくことが重要です。

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