大分市は、家族の世話や介護をする「ヤングケアラー」について理解を深めてもらおうと、中高生向けのハンドブックを作製し、市内の中学31校と高校21校に通う生徒約2万6000人に配布した。ヤングケアラーは家庭内の問題で、周囲から状況が分かりにくいため、子供自身に理解を深めてもらい、相談窓口などの適切な活用につなげたい考えだ。【神山恵】
ハンドブックはA4判1枚紙で、持ち運びできるよう折りたたんで冊子状にもなる。表面には、日常的に家事や家族の介護、幼い兄弟の世話などをしているかを尋ね、それらのために進学や部活など、諦めていることはないかを振り返ってもらう内容をイラスト付きで掲載した。
また、これまでの市の調査などを基に「家事負担が大きくて入院したが、親に原因を言えなかった」「勉強に集中できず進学できるか心配」など当事者の声の他、県や市の相談窓口の連絡先も記載した。
裏面には、自身がヤングケアラーに該当するかを確認する設問を載せ、不安なことがあれば、相談窓口を利用するよう促している。
市が昨年、小学5年と中学2年の児童生徒とその保護者を対象にアンケート調査を実施したところ、子供が自身をヤングケアラーと認識しても、その保護者の約9割が否定するなど、親子間の認識の差が明らかになった。
市はこうした状況について「ヤングケアラーとお手伝いの違いを正確に理解していない可能性がある」と分析。ハンドブックの配布に合わせ、市立小中学校の保護者へヤングケアラーに関する情報を発信する他、来年度以降に小学生向けのハンドブックも作製する予定。
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