南海トラフ地震の臨時情報を受けて閉鎖中の白良浜海水浴場=8月、和歌山県白浜町

防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は31日、宮崎県沖から高知県沖にかけての南海トラフ海底地震津波観測網のうち未整備だった沿岸部分でケーブル敷設工事を始める。2023年度に敷設を終えた沖合ケーブルと合わせて観測網を充実する。25年3月までにシステムを完成し、観測態勢を強化する。

海底地震観測網「N-net(エヌネット)」で整備済みの沖合システムに続き、沿岸システムの観測用ケーブルを敷設する。いずれのシステムも海底ケーブルと、地震を観測する地震計や津波を観測する水圧計などが入った「観測ノード」で構成。沖合・沿岸システムそれぞれに18台の観測ノードがあり、計36台で監視する。

検知したデータは、光ファイバー海底ケーブルで宮崎県串間市と高知県室戸市にある2つの陸上局に伝送。地上通信回線網で防災科研のデータセンターなどに送る。地震の揺れや津波をより早く検知し、海底の微小な揺れや水圧の観測・分析で地震や津波のメカニズムを解明。リアルタイム予測や長期予測能力を高める。

東海地方から九州地方の沖合に広がる「南海トラフ」を震源とするマグニチュード(M)8〜9の地震が発生する確率は、今後30年以内に70〜80%とされる。8月8日には日向灘付近でM7.1の地震が発生。政府が初の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表し、東海道新幹線が減速運転するなど1週間にわたり影響が出た。

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