道路交通法が改正され、11月1日から自転車を運転しながらスマートフォンを使用する、いわゆる「ながらスマホ」の罰則が強化され、新たに「酒気帯び運転」にも罰則が設けられる。厳罰化のポイントや背景を取材した。

「ながらスマホ」違反したら懲役も

通勤、通学、買い物と多くの人が利用する自転車。11月1日から危険な運転への罰則が強化される。 

対象の一つが、「携帯電話・スマートフォンを使用しながらの運転の罰則」。 

(記者リポート)
 「スマホを片手に自転車を運転しています」 
 「スマホをいじって、あ、両手を放していますね。大変危険です」

スマホを片手に自転車を運転
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罰則が強化されるのは、自転車を運転しながら、スマートフォンなどを持って通話をする行為や画面を注視する行為、いわゆる「ながらスマホ」。 

「ながらスマホ」の罰則強化

これまでは「5万円以下の罰金」だったが、「6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金」に。さらに「ながらスマホ」で事故を起こした場合は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」となる。

画面の注視は「2秒以上」

「ハンズフリーの通話」は罰せられないが、イヤホンなどをして、周囲の音が聞こえない状態での運転は禁じられているので要注意。 

ハンズフリー、イヤホンは

画面の「注視」は2秒以上が目安。見るのであれば自転車を止めたほうがよさそうだ。 

最近見かける、スマホを自転車に取り付けるスタンド。こちらは禁止ではないが、画面を注視すると違反。

スマホスタンドの使用は

さらに事故を起こせば「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」となる。

背景にあるのは事故の増加と重大化

厳罰化の背景にあるのは事故の増加だ。 スマホなどを使用した状態での自転車事故は2014年は全国で66件だったが、2023年は139件に増加した。 

スマホ使用などによる自転車事故(全国)

県内では2024年に入って9月末までに435件の自転車事故が発生。前年の同じ時期に比べ29件増えている。 

「ながらスマホ」による事故はそう多くないということだが、運転中のスマホ使用などに対する指導件数は350件と、2023年より74件増えている。 

警察が指導を強めるのは増加傾向だけでなく死亡事故などにつながる「重大化」も懸念しているからだ。 

罰則強化

長野県警交通企画課の渡澤竜一さんは 「携帯電話、スマートフォンを利用しながらの運転をしていた方が、しない場合に比べて、交通事故の死亡事故だったり重傷事故だったり、そういった率が高くなる」と、厳罰化の背景について説明する。

「罰則強化」に県民は 「危ないので(罰則は)いいんじゃないか。前を見てないから、いつこっちに来るかわからないので怖い」 、「みんな。注意されるだけじゃ、やめない、やめていくんじゃないですか」などと話す。 

「酒気帯び運転」酒を提供した人も

もう一つの厳罰化の対象は「酒気帯び運転」。 これまでの処罰の対象は正常な運転ができない「酒酔い運転」。 「酒気帯び運転」に罰則はなかったが、新たに「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられる。 

酒気帯び運転は

酒気帯び運転の人に自転車を貸すなどの行為も同様の罰則が適用される。 さらに酒気帯び運転をする恐れのある人に酒を提供する行為も「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」となる。

実際に事故にあった人は

酒気帯び運転を処罰に対象にしたこともやはり、重大な事故につながる恐れが背景にある。 

長野県警交通企画課の渡澤竜一さんは 「全国的に見て、飲酒運転をする場合としない場合では、死亡事故になったり重傷事故になったり、その確率が酒気帯びの状態の方が非常に高くなる」と指摘する。

“ながらスマホ”

実際に被害にあった人は「酔っぱらったおじいちゃんが、買ったばっかりの車に正面から突っ込まれたことある。正面からガンって。こするくらいだったんですけど、ひゅるひゅるひゅるって逃げられちゃった」、「自転車も乗り物なので、人を傷つける可能性があることに対しては罰則は必要だと思う」などと話す。

ヘルメット着用も呼びかける

県警は危険な運転をしないだけでなく、ヘルメットの着用など自身の安全とルールも守りながら、自転車を利用してほしいと呼びかけている。

(長野放送)

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