国際宇宙ステーション(ISS)に接続している航空宇宙大手ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」=NASA提供・AP

【ヒューストン=花房良祐】米航空宇宙局(NASA)は29日、米航空宇宙大手ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」が9月6日にも無人で地球に帰還すると公表した。6月に初めての有人飛行で国際宇宙ステーション(ISS)に到着したが、安全性に懸念があるとみて復路はテストパイロット2人の搭乗を見送り、無人で帰還させる。

米東部時間6日午後6時(日本時間7日午前7時)ごろにISSを出発し、約6時間後に西部ニューメキシコ州にパラシュートで着陸する。南部テキサス州ヒューストンと東部フロリダ州の地上施設から無人の宇宙船を操縦する。

ニューメキシコ州への着陸後、スターライナーをフロリダ州のボーイング工場に運搬し、ISSに向かう際に不具合が発生した推進装置などを調べる。ボーイングは開発を継続する方針で、収集したデータを活用して今後の実用化につなげる。早期の商用化を目指してNASAの宇宙飛行士らのISSへの商用輸送を担いたい考え。

ISSに到着した際に搭乗していたテストパイロット2人については、別の宇宙船「クルードラゴン」に搭乗して25年2月に帰還する。クルードラゴンは24年9月24日にも打ち上げる予定。

9月の宇宙船の打ち上げでは本来、4人の宇宙飛行士が科学実験などをするためにISSに向かう予定だったが、搭乗する宇宙飛行士を2人に減らし、半年後の帰路にテストパイロット2人を乗せる。

ISSには7人程度の宇宙飛行士が科学実験などのために滞在しており、半年おきに交代している。テストパイロット2人は当初8日程度の滞在予定だったのが約8カ月となる見込み。

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