農林水産省は20日、「持続可能なコーヒー生産プロジェクト」を始めると発表した。国際農業開発基金(IFAD)やUCC上島珈琲、丸紅と連携し、アフリカ・タンザニアで環境負荷の低い農法などを指導。環境的に持続可能な方法でコーヒー豆のサプライチェーン(供給網)を確立する。
コーヒー豆の栽培は気候変動の影響を受けやすい。2050年には主要な品種であるアラビカ種の栽培適地が半減するコーヒーの「2050年問題」が指摘される中、消費地と生産地の双方が連携して、生産性と品質の向上など安定生産の方策を探っていく。
IFADによると、コーヒー豆はタンザニアの主要農作物で、生産量の約30%が日本に輸出されている。コーヒー生産をめぐっては生産者の大半が小規模農家のため、安定した収入の確保や労働環境の向上が課題になっている。
プロジェクトの対象は、タンザニア南部に広がる高原地方でコーヒー豆を栽培する1359の農家。総栽培面積は計2403ヘクタールに及ぶ。農法指導に加え、生産性の高い苗木の育苗施設の設置や、現地で手に入る資源を使った堆肥(たいひ)の生産、収穫後の管理方法など品質向上策にも取り組む。
農水省とIFADは23年4月、宮崎県で開かれた主要7カ国(G7)農相会合で「民間セクター・小規模生産者連携強化(ELPS・エルプス)」を確認。このプロジェクトが第1号案件になるという。
農水省の担当者は「先進国が途上国に『してあげる』という時代ではない。企業と現地の生産者の双方が利益を得る仕組みでなければ回らない」と強調。生産現場との連携強化に意欲を示した。【福富智】
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